獅子対大和!〜天使を巡る学年を超えた身内喧嘩〜
1. 放課後の部室前
放課後、1年の教室へ迎えに行った獅子堂の前に、仁王立ちする大和先輩の姿があった。
その後ろには、なぜか3年生たちが大量の「ぬいぐるみ」と「高級スイーツ」を抱えて控えている。
「おい獅子堂。ゆうを今から3年の部室に連れていく。……あそこには俺が妹のために買った、最高級のふかふかソファがある。そこで昼寝させてやるんだ」
「断る。……大和さん、引退したなら大人しく受験勉強でもしていろ。ゆうはこれから俺の家で、俺がブラッシングしてやる予定だ」
「ブラッシングだと!? てめぇ、ゆうをペット扱いしてんのか! ゆうはな、もっとこう……綿菓子みたいにふわふわと、大事に愛でるもんだろうが!」
2. 大和先輩の「兄バカ」発動
大和先輩がゆうの前に膝をつき、目線を合わせる。その顔は、3歳の妹に接する時の「デレデレな兄」そのものだった。
「なぁ、ゆう。……俺にはな、お前と同じくらい可愛い妹がいるんだ。……名前は『はな』っていうんだが……。ほら、これ、はなが選んだんだ。『お兄ちゃんの学校の可愛い子にあげて』ってな」
差し出されたのは、ピンク色のうさぎのポシェット。
「わぁ……っ! 可愛い……。はなちゃんが選んでくれたの? 嬉しい……!」
ゆうがポシェットを抱きしめて顔をほころばせると、大和先輩の背後に**「後光」**が差した。
「……っ! 似合いすぎる……! おい獅子堂、見ろ! ゆうとうさぎの親和性! これこそが平和の象徴だろぉが!!」
3. 獅子堂の焦りと対抗心
「……チッ。……阿久津! 今すぐパンダのポシェットを買ってこい! 20種類だ!」
「無茶言わないでくださいよ、頭!」
獅子堂は、大和先輩の「手慣れたあやし方」に激しい焦りを感じていた。
自分は「愛が重すぎるお父さん」だが、大和は「子供の扱いを知り尽くした兄貴分」。
「……大和さん。ゆうにポシェットは似合うが、それを守るのは俺の役目だ。……そこをどけ」
「守るだと? お前のその殺気のせいで、ゆうが縮こまってんだろうが! もっと優しく、こう……『高い高い』とかしてやれよ!」
「『高い高い』だと……!? ……ゆう、やるか?」
「えっ、ええっ!? 恥ずかしいよぅ、ししどうくん!!」
4. 側近たちの呆れ顔
廊下で火花を散らす新旧トップの二人。
阿久津と羽柴は、遠くからその光景を眺めていた。
「……なぁ羽柴。……あの二人、何やってんだ? 3年の部室前で『どっちがゆう君を笑顔にできるか対決』なんて……」
「……滑稽ですね。でも、大和先輩が味方になったのは大きいです。これで、他校がゆう君を狙おうとしても、盛トワの全学年が『壁』になりますから」
羽柴の言う通り、3年生の猛者たちが、ゆうの周りで「うさぎさん……」「ふわふわ……」と呟きながら、他校の刺客が紛れ込んでいないか眼光鋭くパトロールを始めていた。
5. 結局、みんなで「お茶会」
「……分かった。……今日だけは、3年の部室へ行くのを許可してやる。……だが、俺も行くぞ」
「当たり前だ、誰がてめぇを誘ったよ。……ゆう、お菓子いっぱいあるからな。おいで」
大和先輩に手を引かれ(獅子堂に背中をガードされ)、ゆうは3年生の聖域へと足を踏み入れた。
そこは、タバコの臭い一つせず、大和が妹のために持ち込んだ「可愛いもの」で溢れた、盛トワ工業で最も平和な空間だった。




