四畳半の聖域
1. 「……僕の家、来る?」
「あの……もしよかったら、みんなで僕の家に来る……? いつも助けてもらってるから、お茶くらいしか出せないけど……」
その瞬間、獅子堂、阿久津、羽柴の動きが止まった。
「……ゆうの、城にか」
「お邪魔してもいいんすか!? ゆう様の手料理……(ジュルリ)」
「おや、阿久津さん、ヨダレが出てますよ。……ゆう君、喜んで伺うよ」
2. 阿鼻叫喚(?)の家庭訪問
ゆうの一人暮らしのアパート。
古い建物だが、室内は驚くほど綺麗に整えられ、石鹸のいい匂いがした。
「……狭い。あまりにも狭い。……ゆう、ここには俺を収容するスペースが足りないぞ」
獅子堂は玄関に立っただけで、その圧倒的な存在感で部屋の半分を占拠したように見えた。
「あうっ、獅子堂くんが大きいだけだよ! はい、みんな座って!」
狭い四畳半に、屈強なヤンキー三人。
獅子堂は正座し、阿久津は壁に背中をつけて窮屈そうにし、羽柴はゆうの教科書を興味深そうに眺めている。
3. 獅子堂の「引っ越し勧告」暴走
ゆうが台所で麦茶を淹れている間、獅子堂の目は「部屋の危険箇所」をスキャンしていた。
「……見ろ、阿久津。この窓の鍵は旧式だ。これでは賊が3秒で侵入する。……羽柴、今すぐこのアパート一棟を買い取って、全室に赤外線センサーと俺の精鋭を配置しろ」
「獅子堂さん、落ち着いてください。……それより、このタンスの上の地震対策が甘いですね。後で補強しましょう」
「……っていうか頭、この部屋……ゆう君の匂いしかしないっす……。俺、ここに住みたいっす……」
「……阿久津。……貴様、今なんと言った。表へ出ろ」
「ひえっ! 冗談っすよ!!」
4. 幸せな「お茶会」
ゆうが運んできたお盆には、安物のグラスに入った麦茶と、近所のスーパーで買った小さなドーナツ。
「これしかないけど……食べて?」
獅子堂は、まるで国賓級の晩餐会に出されたフォアグラでも扱うように、慎重にドーナツを一口食べた。
「……美味い。……俺が今まで食べたあらゆる宮廷料理よりも、この小麦粉の塊の方が価値がある」
「……ただのドーナツだよ、獅子堂くん」
笑い合う四人。
獅子堂は、狭い部屋でゆうとの距離が10センチしかないことに心臓をバクバクさせながら、心に誓っていた。
(……この部屋の平和を守る。……そのためなら、俺はこの建物の周囲に24時間体制で警備を敷き、全住民を俺の配下に入れ替えてやる……)
「獅子堂くん、また怖い顔してるよ?」
「……いや。……幸せを噛み締めていただけだ」




