よくある次の日
次の日、何事もなかったかのように私は学校に行く。
もちろん、途中で何かイベントが起こることも異世界に行く為にトラックに跳ねられることも無かったことは感謝すべきだろう。
いやほんとに・・・
学校の下駄箱で軽く同じクラスの子に挨拶されきょどりながらもし返すと彼女は何もなかったかのように次の子にも同じように挨拶をしながら教室へ向かっていった。
あんな風にできたら人生、楽だろうなと思う一方で気を使ってくれていると考えれば実は彼女の方が私よりも遥かに大変なのかもしれない。そう、私は彼女に感謝を述べねばならないのだ。などとしょうもない考え事をしながら靴を履き替える。
「おっはよー!しおりん!」
昨日も聞いた声だ。ただその声量に思わず体がびくりとなる。
「先輩!その呼び方は・・・」
「何か問題あった?」
そう言われてしまうと何も言い返せない。確かに問題はない。というか思いつかない。強いて言えば私が注目を浴びて恥ずかしいだけだが、いや大問題だろ。
「先輩!恥ずかしいですって!」
「しおりんも私のことあずにゃんって呼ぶって約束でしょ?守ってくれないの?」
そんな約束してたかな。
記憶改竄されている気もしなくはないが昨日の私は正気ではなかったのであり得そうなのが怖い。実際、そう言われるとそんな気が・・・いかん、これはあずにゃん先輩の洗脳だ。
「分かりましたから、少し声のトーンを落としてください。その呼ばれ方をしたことないから慣れてないんですよ。
「そっか、ごめんごめん、しおりん」
この人、自然に挟んでくるな。
「ところでしおりんのことあの子が見てるけどいいの?」
あずにゃん先輩のいう方を見るとそこには後輩の夏美ちゃんがこちらを見ていた。
「おっおはようございます。水瀬先輩とえっと・・・桜先輩ですよね」
「おはよう!夏美ちゃん!」
「あれ?私、名前を名乗ったことありましたっけ?」
「しおりんと実はデートしたんだけど夏美ちゃんのこと色々教えてくれてさ」
「色々は教えてません!」
何だか三角関係の真っ只中にいる気分になってきた。頭がぐるぐる回転してよくわからなくなってきた時に助け舟の声がする。
「後輩をからかうのはいいけどそろそろ行かせてあげないとホームルーム間に合わなくなるよ」
どうやらあずにゃん先輩の同級生のようだ。ショートカットの可愛いというよりはかっこいい、でも綺麗な先輩と思える女子が声をかけてきた。
「りょうちゃん。そんな、私はただ好きな女の子を弄んでただけだよ」
「タチが悪いな。ごめんね。二人とも。こいつは私が連れてくからそろそろ教室に行きな」
「ありがとうございます」
そう言って私たちはそれぞれの教室に向かう。
りょうちゃんって言ってたな。あれがあずにゃん先輩の天敵かもしれないぞ。
いざとなったら助けてもらおうと思いつつもちょっととっつきにくさを感じさせる姿にどうすればいいのだろうかと悩みながら教室に私は入って行った。




