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-10- [外伝] クラスメイト編 -1-

あけましておめでとうございます。

昨年12月より開始いたしましたがブックマーク、評価、感想などいただき大変感謝しております、まだまだ続けていこうと思うので今年もよろしくお願いします。


---------


今回は番外編?としてユーと別れた後のクラスメイト編を書いていきます、時たま本編の合間に挟もうと思うのでご了承ください。

クラスメイト編は木村茜が一応主人公として書いています。

茜達は高速道路の交通事故が起きた瞬間に神の気まぐれにより異世界への転生を果たした。転生先は薄暗い洞窟で程なくして茜は目が覚めた。


(ん・・?ここはどこ?さっきまでバスに乗ってて前の方で事故が起きてそれで・・)


思考を巡らせながら茜は身体を起こし周りを見渡した。薄暗く岩の壁があるだけでとてもじゃないがバスの中には見えなかった。

近くには風子と拓が横たわっていて、それに気づいた茜は取り敢えず2人を起こす事にした。


「風子!水本君!起きて!」

「んん・・・ん?茜ぇ・・?」

「ンーッ・・おはよ・・、木村か、どうしたんだ?」

「取り敢えず周りを見て?私も何が起きてるのか分かんないから」

「え?どこよここ」

「あ?・・・マジだ、俺らバスの中に居たんじゃなかったっけ?」


意識を取り戻した3人は今の場所を確認する為に一塊(ひとかたまり)で行動することにした。

周りを警戒しつつ洞窟を進んでいくと同じ行動をしてるクラスメイトと出会い、情報を集めつつ探索を続けていった。

小一時間探索した結果見つかったのは6人で洞窟の出口は森が広がっていて迂闊に出ると危なそうだから警察が来るまで待つ方向で纏まった。

洞窟は粗方探索し終わったけど、どうせなら全部調べようと茜達は探索を続け、裸で倒れている女の子を見つけた。


「だ・・誰かいるんですか?」

「見つからなかったやつかもしれないな」

「え!?肌が青いよ!?」

「え、ほんとだ・・・」


まず青い肌の人なんて普通には居ない、それだけで3人の警戒度が上がるのは至極当然だった。その女の子が言葉を発する迄は・・・


「キ・・ムらさン」

「っ!?」


茜は驚きで目を見開き、目の前にいる女の子に視線が釘付けになった。


(どうして!?どうして私の名前を知ってるの!?

こんな子私は会ったことも無いし・・この子は何者・・!?)


いきなり名前を呼ばれ困惑しながら状況を整理しようと頭をフル回転させていた所に女の子から答えがもたらされた。


「ボク・・・カワシ、マ」

「かわ・・・しま?川嶋くん・・・?」

「え?川嶋?嘘だろ?」

「ウソ、ジャナ、イ。ボク、カワシ、マ、ユウ、ダヨ」


(この子何言ってるの!?川嶋君は男だよ・・?駄目だ、この子が分からないや・・)


茜の頭は既にキャパオーバーしそうだった、クラスメイトの男の子がいきなり青い肌の女の子になってました!なんて言われてもその現場に居合わせた所で「はい、そうですか」とすんなり納得出来るものでは無いからだ。現場に居らずいきなり見知らぬ女の子から告げられたら尚更である。

頭がパンクしそうな所に余計に頭を混乱する出来事が起きた。


《皆の意識が回復したようだね、とりあえず皆を集めてくれないか?》

「え?誰!?」

「どっから喋ってるんだ?周りに誰もいないぞ?」

「え?え?」


頭の中に直接響くように声が聞こえてきた。

茜達は周りを見渡して確認したがここに居る4人以外誰も居なかった。


《すまないが、そこにいる青い子も連れて行ってあげてほしい、元は君たちの仲間だ》


謎の声はまた頭の中に響いた。

その声曰く、目の前にいる青い肌の女の子は茜達の仲間、つまりはクラスメイトだと言った。

女の子は川嶋優だと主張し、謎の声は女の子はクラスメイトだと言った。それだけで結びつけるわけにはいかないが茜はその言葉を信じることにした。


頭の中に響く謎の声に従って茜達は皆がいる広場へと戻った。

戻った後、謎の声は自分を神と名乗り、この世界は茜は達が住んでいた世界とは違う世界だと言った。

続けて神様はこう言った。



気まぐれで異世界転移させた事。

異世界転移をしなければ全員が事故で死んでいたという事。

既に死んでいた者は生き返らない事。

この世界で生きるのが嫌ならば死を、この世界で生きるならこの世界での最低限の恩恵を与えるという事。

そして優の現状を―――



茜は混乱した。いきなり説明されても信じられるわけが無い、無い・・が、その言葉を物語っている存在が、青い肌の少女になってしまった川嶋優が居るからこそ信じざるを得なかった。


(ちょっとまって・・?訳わかんない・・・、神様って何?異世界って何?死ぬ寸前だった・・?確かにバスが事故に巻き込まれたらしき記憶はあるし、神様が助けてくれたのも事実なんだろうなぁ・・。)


その後茜は疑問に思ってることを神様に聞いた。

何故川嶋優がこんな事になっているのか・・一人の女性として、気になっている男の子の事を知りたいと思うのは当然だった。

神様から返ってきた答えは、優は死にかけであったため肉体が無く、代わりの肉体が女性の体しか無かった事。そしてその身体は混合獣(キメラ)と呼ばれる造られた身体だという事。

神様は説明を終えると恩恵|(この世界の言語理解能力及び文字の認識能力)をクラスメイト全員に付与して消え去った。



(なんで・・?なんで川嶋君だけ・・?酷いよ!死ぬか人間じゃ無くなるかを選べだなんて・・!)


茜は自分に出来る事はないかと悩んだ結果、出来る限り話しかけてあげる事にした。

優にとっても姿かたちが変わっても、変わらずに接してくれるのは精神的に楽になれた気がした。

会話をしている間に、真二がリーダーシップを発揮し皆をまとめ上げていた。

これからどうすべきかという議題で話し合いをした結果、朝になるまで一休みしてから洞窟を出て村なりを見つけて情報を得るという事になった。


異世界ということもあって何が起こるか分からないから洞窟の前に見張りを立てることになり、言い出しっぺの真二と拓が交代して見張りをすることに決まった。

茜達クラスメイトはゴツゴツした岩肌に悩まされながらも溜まっていた疲れが一気に出て、すぐに眠りについた。


クラスメイトが眠りについて数時間後、真二の叫び声によってクラスメイトは目を覚ました。



「皆!起きてくれ!優のやつが俺の事を襲ってきたんだ!」

「なんだなんだ・・?何が起きた・・?」

「なんか桜井くんが叫んでない・・?」

「何かあったのか!?俺、桜井の所へ行ってみる!」

「皆で行こ!」


クラスメイト全員が真二の元へたどり着いた時、頭と腕から軽く血を流しながら、怒り狂ったように優を睨んでいる真二と泣きそうな表情をした優が居た。真二は優に向かって石を投げ始めた。


「どうした桜井!?川嶋に石なんて投げて・・・」

「どうしたもこうしたもねえ!こいつが俺を襲ってきたんだ!

 見ろこの血を!あいつはもう優なんかじゃねえ、ただの化物だ!」

「違っ――」

「何が違うだ!俺はお前のせいで怪我してんだ!この化物め!」


クラスメイトは真二の怪我を見て、自分に被害が及んでいたら・・と考え、優の言葉に耳を貸すこともなく真二の味方になった。

しかし、茜は優の怯え方を見て「本当に川嶋くんが桜井くんを襲ったのか?」と疑問に思った、優は大人しい性格の男の子で自分から手を出すことなんて見たことがなかった、むしろ手を出すのは真二の方ではないのか?と疑ったが、真二は実際に怪我をして血を流しているから本当に襲われたのかもしれない、と自分の立ち位置を決められないでいた。



「出てけ!化物!」

「皆で追い返せ!一緒にいたら何されるかわかんねえぞ!」

「どうせ神ってのとグルだったんだろ!」


皆が散らばっている石を握り、そして優に向かって投げた。

嫌悪を剥き出しにして殺意を持って石を投げた。

茜は石すら投げなかったものの皆の行動を止める事が出来なかった、急な展開に頭が追いつかず静止の声すら出せなかった。

茜、風子、拓の3人は優と会話をしていたのもあり敵対の判断が出来ず石を投げるまでには至らなかった、しかしそれが優の救いになるかといえば違う、優から見れば石は投げてこなくても止めに入らない時点で味方ではないのだから・・


優が洞窟を逃げ出した後クラスメイトは皆喜んだ。

「悪魔が去った」「俺たちが追い払った」など、聞けば聞くほど胸糞悪くなる言葉ばかり耳に入ってくる、茜はそんな言葉に耐え切れず先程まで寝ていた広場まで一人戻って来た。

数分もしない内に風子と拓が暗い顔をして戻って来た、短いながらも優と会話していた2人だからこそ気分を害したのだろう、茜は2人を近くに来るように呼んだ。


「どうしたんだ木村?いきなり呼んだりしてさ」

「うんとね、さっきの件でね、私は川嶋くんが一方的にやったとは思えなくてね・・

 確かに桜井くんは傷付いてたけど、川嶋くんの表情を見ると襲ったようには見えなかったんだよね・・」

「茜の言う事はわかる、川嶋っちの顔は見たけど怯えてたもんね」

「それは俺も思ってた、でも川嶋の身体が暴走してしまったとかもあり得なくないだろ?だから一概には言えないんじゃないか?」

「そうだね、その点もあるだろうけど、それを踏まえても川嶋くんの意思で、じゃないよね、それは」


茜の言葉に沈黙する2人、今更それを分かったとしてももう本人はこの場に居ない。

3人は優の無事を祈る事しか出来なかった。


――翌朝、クラスメイトは洞窟を抜け出し人がいる場所を求めて彷徨った。

洞窟を出た時は優が抜けて、男子が真二、拓を含む5人で、女子が茜、風子を含む4人の合計9人だった。


洞窟を出て1日目、9人は思った以上の木々に圧倒されていた。神の気まぐれだから街に近い場所に転生させてくれたのだと勝手に思っていたからだ、その幻想はすぐに壊され1日目は森の中を彷徨う事になった、日が落ちると周りが分からなくなる程暗くなり、全員が身を寄せ合って気も休まらない夜を過ごした。


洞窟を出て2日目、日が上がり9人はすぐに行動した。起きた時に洞窟に戻って助けを待とうという意見も出たが、こんな生い茂った場所で人が通るとは思えずその意見はすぐに却下された、空腹に耐えながら獣道を進んでいるとガサガサッという音と共に一番後ろにいた男子生徒が吹き飛ばされていた、そこには巨大な猪がおり追い討ちとばかりに男子生徒に(とど)めをさしに突進した、男子生徒の助けを呼ぶ声も虚しくその体は突進の衝撃でバラバラになり命を絶つこととなった。衝撃的な場面を見た8人は悲鳴を上げることもできず、助けに行くこともできず、ただ立ち竦んでいた、その猪が次の獲物をばかりにこちらを睨むまでは―――

その視線に気づいた一行は脱兎のごとく走った、直線に走ると猪に追いつかれる為、所々生えている木を障害物にしてひたすら走った。気がついたときには辺りは闇に覆われ迂闊に動くと危ない状況へと変貌していた。空腹と乾きが限界に達し「死」の文字が脳裏をよぎったその時、8人の耳に水の流れる音が聞こえた。さっきまでの限界がどこに行ったのかと言わんばかりに音のする方へ進む8人、1分ほど歩いたところには川が流れていた、飲める飲めないを気にする余地はなく8人はひたすらに水を身体へと取り込んだ、大量の水で空腹を誤魔化し、乾きを潤した。その日は川の側で一夜を明かすことに決めた8人であった。


洞窟を出て3日目、ある程度の飢えは水で凌げると分かった8人は川に添いつつ人がいる場所を探し求めた、宛てもなく歩いていると女子生徒の1人が知らない男2人に襲われた、1人は女子生徒を押さえ込みもう1人は下衆な笑顔をこちらに向けナイフをチラつかせて風子を襲おうとした。

風子が掴まれる瞬間、拓は男に蹴りを入れ風子の腕の掴んでその場を走り去った、それに釣られるように皆も拓について行くように走った。

蹴られた勢いで転けた男は追いかけようとしたが既に茜達は走り去った後で追加で女を捕まえれなかった事を悔やんでいたが1人は確保したことを思い出し黒い笑みを浮かべ仲間の元へ戻った、捕まえた女子生徒を楽しむ為に――

襲われた現場からかなり遠い場所で7人は休憩していた、全力で走り後ろを振り向く余裕もなくただただ走った。一息ついた後、真二と拓は口論になった。「何故女子を助けなかったのか?」「あの状況でお前なら助けることが出来たのか?」と・・・、拓は真二の気持ちも分かるがただの高校生が大人2人を相手に(かな)う訳もなく被害者が増えるのを防ぐので精一杯だったのだ、真二もそれが分かっているからこそ、拓の言葉に反論することができなかった・・・


洞窟を出て4日目、もはや空腹も水でごまかせるものではなくなっていた、もうこのまま寝ていたい、しかしそれはそのまま死を意味する、7人は力を振り絞り立ち上がり一歩、また一歩と歩を進めていた。この時点で7人の間で会話などなくただただ森から抜け出そうとする一心だった。休憩を挟みつつ歩いていると男子生徒の一人が喉が渇いたから川に寄りたいと言い、1人川へと向かった。残った6人はその場に腰を下ろし休んでいたが川へ向かった男子が一向に帰ってこないので心配になって川へ向かうと、川に顔をつけたままの男子が居た。真二と拓が力を振り絞り男子を起こすと、既に冷たくなった遺体がそこにはあった。6人は土を掘る力もなく、遺体を日陰に横たわらせてその場を後にした。クラスメイトの死を前にしても極限状態の6人には感情が出ることがなく、ただただ森の外へと向かうだけの存在へと変わっていた。

歩いていく最中(さなか)、女子生徒が倒れ、次に男子生徒が腰を下ろした、茜が意識を失い、風子も軽く休憩すると言って意識を手放した。残った真二と拓は皆が倒れた場所から徒歩2分たらずの場所で力尽きその身を大地へと投げ出した。



だがその2分、たった2分が生死を分けた



森の側を通っていた商人一行は物音に気づいた、何かが倒れた音だ。

護衛が商人に声をかけたあと森へ入っていった。商人も護衛も獣が倒れたのだろう、今晩の一品が増える――、程度の気持ちで護衛にGOサインを出し、森へ入る許可を出した。

だがその浮ついた気持ちは護衛の声でかき消された。



「子供だ!人の子供が倒れているよ!」

「――ッ!?」

「しかもこれはヤバいかも!手を貸して!1人や2人じゃないよ!」



護衛が行き倒れに遭遇したらしい、応援要請の叫び声をあげた。

その声に商人は顔を(しか)めた、人助けは金にならない、むしろ毟られるだけだ、そう知っているからだ。しかし今雇っている護衛の2人は正義感が強い、人助けをしない方針を伝えてもいい顔はしないだろう。

商人と護衛、雇用の関係上護衛は商人の意見に従う必要がある、それを分かっている2人は了承するだろうがその後が面倒になりそうだ、と商人が頭を働かせている間にも護衛が少年を2人抱えて森から出てきた。

商人は、その護衛が抱えている少年達の衣服を見て『普通の行き倒れ』ではない空気を感じ取った。これはもしかすれば大きな転機になるかもしれない、ともう1人の護衛にも手伝いをするよう頼んで森へと足を運ばせた。


空いた荷台に寝かされた少年2人を見る商人の目は、いくつもの先の商売の事を考える商売の鬼の目をしていた―――

年末は体調不良でまともに筆が進まず書き貯めも出来ず、散々な数日を過ごしました。

せっかくの連休がお布団ですごす羽目になるとは・・・

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