はちこめ
イリスは静かに歩いていた。
誰と話すこともなく、何を考えるでもなく。
さっきまで隣を歩いていた自らの親友の半歩後ろに控えるようにして歩く。ルウはライアと楽しげに話していた。
「ルウ、今日体育着持ってきた?」
「え、いや?私は持ってきてない。だって今日体育じゃなくて保健でしょ?」
「よかったぁ〜!保健ってことは覚えてたんだけど、お母さんに持ってけって何度も言われてさ、結局持ってこなかったんだけど心配で…………」
「あぁ〜、そうゆう時あるよねぇ〜わかる〜」
ルウはライアに屈託のない笑顔を向けている。
ルウは、そういう子なのだ。誰にでも分け隔てなく接することのできる、とっても優しい子。
イリスはルウとは違う。イリスは、ちょっとだけ友達判定が厳しめである。しかしその分、一度友達だと認めた子にはとことん付き合う。そんな子だ。
少しひねくれ気味だと言ってもいい。
「ところでだけど、今日って国語の授業あったっけ?」
「うん。普通にあるけどどした?」
「…………漢字、覚えられてない……」
「え、先生次の授業がテストって言ってたけどどうする……?」
「学校行ったらすぐやるわ……」
「そうしたほうがいいね。うん。がんばれっ!」
ライアを励ましながら、ルウはにかっと笑った。
イリスは、太陽みたいな笑顔を浮かべるルウを見てとても綺麗に笑う。
ルウの笑い方は、幼稚園の頃から変わらない。元気よく、快活に。
空に咲く、ひまわりみたいに。
イリスは、そんな風に笑うルウの笑顔を見るのがとても好きだ。
今も、昔も、これからも。




