ななこめ
「おはようっ!イリス!」
「うん、おはよう。ルウ」
私は先を歩く友人を見つけ、駆け寄って声をかけた。髪を肩の少し下までさらりと伸ばし、横髪を緩く三つ編みにした友人は、微笑んで私に返事をしてくれた。
「今日もルウは元気だね」
「元気だけが取り柄だからね!」
「昨日のこと、気にしてない?」
イリスに問われ、昨日のことを思い出す。昨日の記憶は強烈で、昨日のことのように思い出せた。……当然か。
「気にしてないわけじゃ無いよ?でも、ずっと引きずっても仕方ないからさー、もう立ち直ったよ。イリスのおかげだね。ありがとう」
にかっといつもの様に笑ってお礼を言うと、イリスも笑みを深めて応えてくれた。
「そんなことない。ルウは強いよ。私は私の言いたいことを言っただけ」
「いやぁ、イリスは謙虚だねぇ。私だったら、ふんぞり返って、もっと褒めろーって言ってるよ?」
「あはは。ほんとかなぁ。でも、きっとルウにそうやってされても可愛いから許しちゃいそう」
「イリスは優しすぎるよ?」
私みたいなやつは、おでこにデコピンの刑に処すべきだと思う。
「あー!ルウだー!」
「おぉ、ライアちゃん!おはよっ!」
後ろからすたたたぁっと現れた、大きな声の女の子「ライア」に挨拶する。ライアは高い位置で髪をひとつに結んでいる活発な女の子で、私と同じクラスだ。中学生に上がってから仲良くなった。
「おはよおはよ〜っ」
「…………おはようございます」
「……イリス?」
イリスの方を見ると、顔からさっきまでの笑顔が消えていた。なぜだろうと首を傾げると、隣にライアがやってくる。
「ルウ、今日の一限目の話だけどさ……」
ライアが喋り始めて、私の意識はライアへ向かっていった。




