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空に輝く五芒星  作者: 猫村 子麦
第一章:私はまだ、何も知らない
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ごこめ

「悪いものじゃない」


 イリスの柔らかな言葉が、私の胸を抉る。そこで爆発した。視界がにじむ。


「イリスがっ、言うな!幼稚園児の時、画用紙に点を描いた君が、言うなっ!イリスは真っ直ぐにものを捉える。でも私は…」


 もはや、口は閉じる気配がなかった。


「私が描いた五芒星を見て、君は笑ってたんでしょ⁉︎心の中で!こんなもの、空に、ないって……思ったでしょ」


 イリスの顔を見ていられなかった。酷く傷ついた顔をしていたから。視線が落ちて、手元に行き着く。

 私は、何をしているのだ。仲が良かった先輩に傷つけられて、泣いて。それどころか、慰めてくれた友達を傷つけている。


 あぁ、私は愚かだ。


 胸に酷く冷たい思いが広がった。


「私が黒い画用紙を渡した後も、イリスは白い点を打ち続けた!……っ、綺麗だった」


 私は、イリスが打つ点に見惚れた。黒い画用紙に輝く星に。


「ありがと」


 と、その時。私の滲んだ視界に、イリスの手が映り込んだ。


「ルウは、私が、うらやましい?」

「……とっても」

「そうなんだ。なんか、意外だな」


 えっ?肩がびくんと跳ねた。イリスの手が私の手を撫でていた。


「私もずっと。ルウが、うらやましかったから」

「ぇ」


 今度は声がもれてしまった。緩慢な動作で上を向く。イリスの目元は赤かった。


「自分でいろいろ想像できて、それを描けるルウを、すごいなって思ってた。自分の中に、世界を持てるルウに、憧れた」


 初耳だ。


「多分ね、五芒星を描いた時のルウの頭の中の世界の空には、五芒星が輝いてたと思うの。それを、ルウは絵にした」


 イリスが私の手を握る。


「それって、とっても素敵だよ。私にはできない。ルウだけができる、素敵なこと」

「ありが、とう」


 自然と口角が上がった。


「ありがとう」


 これでも良いんだと思えた。私は本当に、良い友達を持ったのだ。

ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

次話は短編に書かれていない内容になります。章が変わります。

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