さんじゅうよんこめ
休み時間。今は昼休み。
ほしぞら中学校の昼休み時間は20分だ。他の休み時間は10分。昼休みは若干長い。ありがたい。
教室の中で元気な人たちは駆け回っている。危ない事この上ないが、この人たちは机にぶつかることすらなく駆け回る。すばしっこい上に足のコントロールがよく効く。転びもしない。バランス感覚もいいのだろう。
というわけで、クラスの誰も、この人たちを注意しないのである。
「イリスぅ」
「何?」
現在私の隣にはイリスがいる。可愛い。それはともかく、私にはイリスに頼み事があった。
それは!
…………それはっ!!!
「水筒取ってきてぇぇぇぇええ」
「え、やだ」
ですよね。
「喉渇いたんだよ!私の喉を潤して!水筒!」
「私水筒じゃないよ?」
知ってる。
「水筒持ってきてー」
「自分で持ってくりゃあいいじゃん」
「やだ。椅子が私を離してくれない。あと水筒置き場まで遠い」
「…………」
ぶー、と頬を膨らませる。即潰された。
イリス、反射神経いいね。私にも分けて?
「いいよ、ルウが可愛いから。取ってきたげる」
「やったぁ!……可愛いからって何?」
「そのままの意味だけども」
顔の造形がイリス好みってことだろうか。もしかしてだが、子供っぽいとかそういう意味ではあるまいな!?なあ!?
水筒を取りにいってくれたイリスの背中を見つめながら唸っていると、不意に後ろから声がかけられた。
「ルウ」
「……ライアちゃん?」
後ろを振りかえると、これまでにないくらい深刻な顔をしたライアちゃんがいた。
何か起こったのだろうか。だとしたらただ事ではないだろう。そんな雰囲気だ。
「ライアちゃんどうしたの?」
「驚かないでよく聞いて」
「う、うん。わかった」
心臓が胸を飛び出してしまいそうだ。言いようもない緊張感に襲われ、気を抜くと呼吸を忘れそうになる。
「実は、イリスが」
なんだそれか。イリスいじめのことね、もしかして自首?いや、自分が関係した悪いことをきちんと言える人はひどく少ない。ライアちゃんを弱いと思っているわけではない。そういうものだ。
ライアちゃんは、無関係もしくは加害者から遠い。 よし、情報が一つ増えた。
呼吸を思い出した脳は余裕を持ってライアちゃんに答える。
「知ってるよ」
「え、知ってたの」
結構あからさまだったと思うけどな、いや、無視する雰囲気ができてただけではあるけれど。それでも、少し周りに木を向ければ気がつけるものだと思う。当事者もしくは当事者に近しいものでなければわからないものかもしれないけど。
まして、自他共に認めるイリスの親友である私が、気がつかないはずがないじゃないか。
「で、でも、知ってるならなんで一緒にいるの?」
は?
一瞬、頭が切れたのかと思った。瞬間的に熱くなった思考は、痛みをもたらすのだと今初めて知った。
こんにちは猫村子麦です。名前覚えてもらうために毎回後書きに名前入れてますけど、もう必要ないのではと思ってきました。どっちでもいっか。小麦にされるのはもう宿命みたいなもんですしね。うん、悲しい。
こむは最近、6時間睡眠で生きています。7時間より8時間より寝起きがいい。そして頭も冴える。
なんでこうなるのかは不明ですが、こむは今日も元気です。




