さんじゅうにこめ
文字数999!!物騒!
さぁて、容疑者さんはここにいるはず。
私はなるべく足音を立てないようにして校舎裏に回った。こそこそと裏門をくぐる。……まてよ、今の私めちゃ不審者なのでは?
私は丸めていた背中を伸ばした。猫背脱却。これで不審者らしさからも脱却できたらいい。いやまてよ、「不審者らしさ」ってなんだ?不審者に決まった型はない。決して黒尽くめの服を着ている人が不審者であるとも限らないし、若い女の人が不審者でないという証もないのだ。……そういえば私、小学生のとき全身白タイツの人が自転車漕ぎながら小4くらいの子に向かって『今日も平和だね』と言っているのを聞いたことがあるのだが、あれは不審者と言えるのだろうか?無害っちゃ無害だからちがうのか??
私は至極どうでも良いことを考えながら、道路沿いを歩いて行った。
向かうのは学校指定の送迎場所。
「ありゃれー、まだ居ないみたいだ。めんどくさいな、待つの」
少々愚痴を言いつつも、送迎場所から少し離れたところで待つ。10分ほど過ぎただろうか。私が探している人はそれでも来なかった。
太陽が頬を照りつける。日焼け止めは塗ってない。焼けちゃうかな。赤くならないといいな。皮剥けたら最悪だ。あれ結構痛い。でも、日焼け止めを塗るのは面倒なのだ。そう!面倒!なのだっ!!非常に!すっごく!めっちゃ!とっても!
あとべたべたする。私あの感じ嫌い。
でも日焼けも嫌だ。
意外と世界には嫌うものがたくさんある。何かを嫌う理由というのは多すぎるのだ。有り余り過ぎている。しかし、何かを嫌う行為は、エネルギーの消費に対して不快感を生む。自分が嫌ったものにエネルギーは使いたくない、という不快感によってまたエネルギーを使う。人とはかくも愚かな生き物だと、私は思う。もちろん私もだ。生きるのが下手すぎる。本当に。もっと上手に生きる方法なんてもっとたくさんあるはずなのにね。
要領が悪くて、好奇心には逆らえなくて、自分を優先するくせに、好きな人のためだったらなんでもする。
不器用で、そして、
愛おしい。
そう言ったのは私の大好きな親友。
イリスは、そう言っている自分こそが世界の何よりも愛おしい存在なのだということを分かっているんだろうか。……もしかして分かってないのか?それは許せない。いつかわからせる。
そこまで考えたところで、私はハッとした。
目線の先には、燦々と輝く太陽。
「ここじゃないじゃん……」
私の頭は、少し悪かったようだ。
どうも猫村子麦です。この話も長くなってきました。ここまで辿り着けているあなたは私の英雄です。……英雌の可能性??……
さて、ルウは結局、容疑者さんを見つけることができませんでした。そこにいるあなたは、容疑者さんが誰なのかわかりましたか?ヒントは作中にあります。謎解き感覚でお楽しみいただけたらいいのですが、いかんせんこういうのは苦手なので、簡単すぎるかもしれませんね。




