じゅうきゅうこめ
「本当にいつも通りでいいんですね」
「あぁ。お前らのいつもを描きたいんだ。絵は綺麗なものだけど、綺麗なだけじゃないから。日常を描いた平凡な絵だってあっていいだろ」
それもそうか。
私は軽く頷き、真っ白なキャンバスの前に座った。
「よっしゃあ!大作、描くぞおぉぉぉぉぉおおおお!」
「うん。意気込みは悪いものじゃないけど、あんまり力んじゃダメだよ」
隣にキャンバスを並べたイリスが、声をかけてくる。
「わかってるよ」
イリスに注意されてバツが悪くなり、ぶらぶらと揺らしたつま先に視線を落とす。
「わかってるけど、さ…………」
いじけたように言うと、隣でイリスが椅子に座った気配がした。
だから私は、つま先からイリスへと視線を移す。そして、パッといつものように笑った。
「真っ白なキャンバスって、ワクワクするじゃんっ!」
イリスは、にかっと笑みを形作った私の顔を見てふわりと笑った。
「そうだね」
ほんっっっと、イリスは綺麗に笑うなぁ
私が半ば見惚れるようにしていると、視界の隅で高速移動するレア先輩が見えた。
「…………え、何してるんですか、レア先輩。怖いんですけど」
「いい画角を探してるんだ!ところでさっきの表情良かったぞ!もっかいやれ!」
「無理です」
「おぉう。。イリス後輩、そこをなんとか」
「無理です」
イリスがレア先輩からふいっと顔を背ける。レア先輩は非常に情けない顔になっていた。
「と、とりあえず描き始めよっか」
「うん。良いけど、ルウは何描くか決まった?」
「うーん。そうだなぁ……」
イリスに問われ、私は美術室を見回す。
デッサンをするのもいい。油絵もいいな。それとも水彩をするか。
しばらく考えたのちに、私は決めた。
「人物画を描く」
「……誰の?」
「ふっふっふ。それはー」
私は、ある人を手で示した。
「シルク先輩っ!!」
「えっ!?ふぁっ!?ルウちゃん、シルク描くの!?」
部屋の隅で寝ていたシルク先輩がバッと起き出してきた。シルク先輩近くにいた部員の肩が跳ねたが、シルク先輩は気付かない。
大きく見開かれた目は銀色に輝き、雪色のまつ毛に縁取られていた。
お話とは全くもって関係ないんですけど、これ移動中の車の中で書いてたんですよ。(運転はしてません。ご安心ください)なのに、車酔いしなかったんです。子麦は車酔いする人なのに今日だけしなかったので、なろうのご加護(?)的なのを感じました。
次話もよろしくお願いします。
すみません。シエル先輩の名前間違えてました。正しくはシルクです。修正しました。
すみませんっっっっ!レア先輩のルウとイリスの呼び方間違えてました!正しくは「ルウ後輩」「イリス後輩」です。修正しました。




