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第五十五話  檻の中

約四カ月も更新できなくてごめんなさい・・。

受験って嫌なものですね。

  私には、大切な人が沢山いる。

 それは近所の友達だったり、役場の人だったり、学校の先生だったり・・・。

  私には、私を大切に思ってくれる人がいる。

 それは自慢の妹だったり、天涯孤独になってしまった幼馴染だったり・・・。


 ・・・私は決して独りではない。けれど、心から愛されているとも思えなかった。





 時刻は夕方。

 私は学校にも行かずに、一日中薄暗い畳部屋で息をしていた。

 もちろん、自分の意思で閉じこもっているのではない。

 母に閉じ込められたのだ。


 母は私を嫌悪している。

 今亡き夫・・・・・私の父が私に溺愛していたのが気に食わなかったらしい。

 父の溺愛ぶりが異常だったのか、母の嫉妬心が異常なのか判別つかないけど、

 とにかく私は母の子供として扱われなかった。

 しかし、それも時と場合によって変動があり、鈴がいるときや第三者がいるときには

 決して疎むような素ぶりを見せずに『自慢の娘よ』と嗤っているのだ。 

 

 「お母さん。早く出して」


 蚊の鳴くような声で開放を求めても、母は来てくれない。

 稀に出してもらえるのだけれど、今日なんて返事もなかった。


 「誰か・・・助けて」


 お腹がすいたよ。友達に会いたいよ。

 ・・・・・・・・・・・お母さんに愛されたいよ。


 「お願い、だれか・・・・・」


 その時だった。

 家の外から聞きなれた少年の声が突如響いた。

 「すいませ~ん。成瀬さんはいらっしゃいませんか」

 陽の光のようなぬくもりを含むその声に、ついさっきまで軋んでいた

 私の心はいくらか落ち着きを取り戻す。

 

 時間帯を考えるとおおよそ見当がついた。たぶん学校から帰る途中に来たのだろう。

 やっと、普段の紘斗に会えると思ったら嬉しかった。

 しかし喜んでいられたのもつかの間で、母が何か返事をしながら家の戸を開く。

 ここからだと二人の会話は聞き取りづらく、要所要所の単語しか分からなかった。

 

 「・・・・・鈴は・・・・けど。でもねぇ、まったく。・・・・あの子は・・・」

 「・・・ですか。・・・・・蘭も・・・・・・なってと・・・ください・」


 内容がよく掴めないが決して聞いてて気持ちのよいものではない感じがする。

 体中の神経を集中させて耳をすませると、衝撃の言葉が母の口から出てきたのだった。

 なぜ、大声でもなかったのにはっきりと聞こえてしまったのだろう。

 なぜ、私はこんなにも焦っているのだろう。

 


 ああ。聞かなきゃよかった。

 


 「実は、あの子・・・・・もうすぐ死ぬの。病気で。」

 涙声が震える様子まで繊細に伝わってくる。

 おかあ、さん。

 私はどこからどう見ても健康だよ?

 ご飯だって食べれるし、人一倍動けるし、睡眠だってあたりまえにするよ。

 普通の生活できてるじゃない。

 

 ・・・・あれ・・・?


 『普通の生活』ってなんだっけ。


 もしかして、私・・・・・・・。


 ____________お母さんに、殺されるのかな。



 

 


 

 



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