第三話 長寿の桜、開花
長寿の桜は静かに目を覚ました。神が「目を覚ます」と言うことは要するに「桜が開花する」ということである。花開いた花弁がそよ風にのって舞い落ちる中、少年はぎこちなく体を動かして、待ちに待った春の訪れに嬉しそうな笑みを浮かべる。
「綺麗な、景色・・・・」
そう呟くと、刹那に「最期の春」という悲しみが胸に染み渡り、思わず泣きそうになってしまった。大きく息を吸い込んで落ち着かせる。唇をぎゅっとかみ締めて、ゆっくりと顔を上げると、一人の少女と目が合った。
少女がまっすぐに向かって突進してくる。大きな丸い瞳が、曇りなき眼でこちらを見ている。
「・・っ・・__じ___君」
何か言葉を発しているようだが、とぎれとぎれで何を言っているかは良く解らなかった。荒い息を整えながら棒立ちしている少女を傍で見ると、ふとある疑問が生じた。
(巫女の服を身に着けていないのに、神の姿が見えている?)
もともと巫女の衣装には「神聖な力」が宿るとされているので、身に着けていないと「神本来の姿」は見えない。だから、巫女でも服を着ないと「神の魂」の存在だけしか感じることができずに形の判別が困難なはずなのだが・・・・。
村人の中にも“自分は桜の神が見える”と自称する者がいるが、その者も本当は「魂」の有無しかわからない。それなのに、この少女は自分と目があったということより、自分の姿を確実に認識していると考えられる。
(おかしい・・)
神は不可解な出来事を前に、思考を巡らせた。
もしかしたら、少女が身に纏っている淡い橙色の服が特別な巫女の為の衣装なのかもしれないと仮定すれば、なんとか理解することはできる。
そうなると話は早い、と少女に話しかけようとしたその瞬間____。
少女は再び不可解な言葉を告げた。
「また、会えたね・・・逢いたかった」
設定に話が追いつかない(汗)そして、出会いの場面ですね。
色々と語りたいですが・・後々に・・。




