第二十二話 異変は異変を呼ぶ
「ここは、どこだろう・・・。」
何も見えない闇の中、辻は空間に放り出されていた。
意識が朦朧としていて、状況がつかめない。
思い起こすこと、数十分前________
*
「っ・・!!?近くに雷が落ちた!??」
「ああ、多分そうだろうな・・・・」
足場が揺れ、あわてて近くの本棚に捕まった二人は、そんな会話をしていた。
「倉庫の奥なのに音がかなり響いたんだ。この神社内に落雷した
可能性が高い。その中でも危険な箇所は____。急がないと・・」
焦りをみせる辻の深刻な顔つきに、楓はごくりと唾を飲み込む。
「まさか・・・。辻さん、長寿の桜に落ちたっていうんですか?」
「考えたくはないがな。一旦この倉庫を出よう・・・・・・・・・?」
お互いの顔が闇に消えた。不幸にもランプが役目を終えてしまったのである。
「おい・・嘘だろ・・・・こんな時に」
「もっと早く切り上げとけばよかった・・・・・」
更に動揺する辻を見つめながら悔んでいる楓の前に、ふと、異変が生じた。
「とにかく壁に沿って進めばここをでられるはずだ・・!」
辻は気付いていないのか、そのまま部屋を出ようとする。
異変、それはあまりにも非現実的だった。
楓と瓜二つの顔をした長髪の少女が現れたのである。
暗闇だが、少女の姿は鮮明に見えた。
「辻さん・・!待って下さい・・・」
闇と紛れた辻を呼び止め、女の子がいます、と付け加えた。
「どうした楓?女の子なんていないぞ」
やっぱり辻には見えていないようである。
僕とそっくりなこの子は誰?
どうして僕しか見えないの?
世の中に、顔の似た人間は三人いると耳にするが、
この少女は生きた人間ではないように見える。
そう考えていることが見透かされたのか、
少女は人差指を軽く唇に当て優しげに微笑む。
まるで『今は内緒』と言わんばかりだった。
少女の声が頭の中に届く。『隠し通路、教えてあげる。ついてきて』
知らない人なのに、どうしてか不信を抱かなかった。
「この先に、隠し通路があるそうです!」
「え?本当か!?教えてくれ!・・・って『あるそうです』・・・?」
楓は、頭の上にはてなを浮かべる辻から謎の少女に目線を変えた。
少女は右を向き、小さな棚を指差す。
それから、棚を押す真似をし始めた。
「辻さん!この棚をずらしましょう」
「・・・ん、わかった!」
息を合わせ、横に滑らせる・・・ことは出来なかった。
見事に辻の腕が棚をすり抜け、辻は顔をしかめる。
「ごめん・・・・」
「大丈夫ですよ」
楓は力を振り絞る。小さな棚は見かけによらず重かった。
一息ついてから、少女にお礼をしようとしたが、消えてしまった様子。
驚く辻の声が左側から聞こえてくる。
「!!・・これは、抜け穴か」
棚に隠れていたのは人一人が通れるほどの小さな穴。
「楓、ありがとう・・助かった・・」
礼を言われた楓は「いえ、僕の力じゃ・・」と否定するも、
辻に少女が見えていないと諦めて言葉を続ける。
「お先に抜けて、桜の様子を見に行ってください。
すぐに僕も追いつきますから」
「悪いな。じゃ、言葉に甘えて先にいくぞ」
四つん這いになり、小さな穴をくぐる。
壁が厚いのか、しばらくしてから駆け出す足音が聞こえてきた。
途中できってしまってすみません・・。
微妙な終わり方でした・・。




