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第十八話  何者かの記述

黙々と読んでいると、気になる資料がでてきた。

 執筆された日付は、現在から約六十年前のようである。

 内容は以下の通りだ。

 

  『今からおよそ八十年前、私が子供の頃、

   村の隅にある霞河神社の近くで殺人事件が起きた。

   季節は春で、桜が開花し始めていた。

   事件の容疑者に浮かび上がったのは一人の女。

   二十代後半で、この村の役人をしていた。女は「違う、私ではない」と

   なんどもなんども主張したようだが、受け入れられずに牢獄に囚われた。

   村では珍しい殺人事件ということで、毎年行われる桜祭りは中止、

   村民には不安が募っていたが犯人を捕らえたことにより

   平穏が戻りつつあった。


   だが、桜が散り始めた頃に奇妙な出来事が起きたんだ。

  「女が脱獄してしまった」という話しを聞いた。

   噂は広がり続け、また誰かが殺されてしまうのではないかと

   村は再び恐怖に怯えた。何が奇妙なのかと言うと、逃げた女は

   公に姿を現さず、ひっそりと行方を晦ましたということである。

   それからは、何も起きずに八十数年がたち、事件を覚えているものは

   数少なくなった。真相は本人にしか分からない。

   わしも、年をとった。もうすぐ死ぬだろう。


   最期に、気になったことを綴らせてもらいたい。

   最近、あの子たちの姿を見ないが、どうしたのだろうか。


   いつも笑顔で楽しくじゃれあっている三人組。

   親族でもないのに気になってしまう。


   もうひとつ、霞河神社の桜の木は六十数年生きているが、

   まったく枯れる気配を見せない。不思議なものじゃ。


   終わりに、この駄文を読んで下さった方へ。

   おおざっぱな事件の内容だったが、どうか気になったら真実を

   見つけ出して下さらないか。


   もしかしたら、あの事件は何か別のモノが関与している気がしてな。


   ___著・** **______』



  楓はゆっくりと本を閉じた。

  顎に手を当て、何かを思いついたように辻が声をあげる。


  「これって・・・・あの伝承に似ていないか?」

  「そうですね・・」


  応答しながらも頭を抱え込む。霞が取れない。ぼやけてしまう。


  脳裏に浮かび上がる優しげな雰囲気のおじいさんの姿。

 「この人・・僕、会ったことあるかもしれない」

 「でも、約六十年前に書かれた資料だ。それに、書いた人はもう

  亡くなっている。楓自身が会ったと考えるのはつじつまが合わない」

 辻に言われ、楓は「ですよね・・」と肩を落とす。

 昔起きた殺人事件と奇妙な出来事についてはつかめたけれど、

 『記憶』に直接関係することは無さそうだ。


  沈黙が続いた後、ふいに辻が問いかける。

  


  「 ____なあ、神楽と楓にある記憶ってさ、

   前世の記憶みたいなものじゃないのか?」


  

  

久々の更新です。内容が・・・・。

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