第八話 掟と罪と罰
「罰って・・・_____。
・・・・あ、いや・・俺が深入りしてはいけないな」
詳細を知りたくなったが、他人の家の事情に入り込んではならないと、辻はためらった。しかし、楓はたやすく許諾する。
「辻さんなら大丈夫です。桜のとはいえ“神様”なんですから」
「・・そう。ならよかった」
太陽が昇ってきた。空は少しずつ明るくなり、赤く色づく 昨日よりも咲く花が増加したようだ。今夜ぐらいから明日にかけて満開になるだろうと予測される。
楓は家庭の事情を洗いざらい説明した。
「まず、『掟』について・・。姉ちゃんを縛る掟は全部で三つ。
ひとつ、この神社・・・『霞河神社』へ来てはいけない。
ひとつ、『あの記憶』に関係することに触れてはいけない。
また、口に出したり、誰かに相談してはいけない。
ひとつ、家の地下に入ってはいけない。_______」
隙間を挟まず説明は続く。
「次に、『罰』について・・。今言ったとおりの掟を破ったり、
掟にさからったりすると、『罪』として相当の『罰』が下される。
たとえば、ある部屋に幽閉されたり、ご飯が与えられなかったり、
殴られたり・・・・_______。と、酷いんです。
僕には掟と罰が無いけど、姉ちゃんが掟を破っていないかを監視する役目を
親から決めつけられました。
そんな僕も、その掟や罰について反抗したことがあるんですが・・・
体罰を受けて終わりました。他にも・・・・前、姉ちゃんが思わず
『記憶』のことに触れたとき、ご飯がぬかれて、
僕のご飯を分けてあげようとしたら・・
僕も一緒に和室の部屋に閉じ込められました。一応説明はこれで全部です」
消え入りそうな声で説明は終了した。
「______とても残酷じゃないかっ・・・・・・・」
辻はありきたりな文句しか言えなかった。だが、それも仕方ない。
語られた内容はあまりにも酷であり、年若い少年少女に似つかわしくなくないものだったのでかける言葉も見つからなかったのである。
・・・「大変だったね・・・」・・?いや、そんな軽いもんじゃない。
それとも「何それ?あり得ない」・・違う。もっとほかに言葉があるはずだ。
言葉を探していると、また新たに疑問が生まれた。
「なあ、・・・神楽には掟があって、楓には無いんだよな・・。
その違いはわかるか・・・・?」
楓は一度考え込むしぐさをすると、すぐに返した。
「それについては、良く考えてませんでした。そういえば・・・
昔、姉ちゃんと遊んでいて、姉ちゃんが背中を怪我したときに
様子を見ようと服をめくったら・・桜の花の形をした痕がありました。
めくったそのすぐ後に・・やめてといって振り払われましたが。
その痕は・・・・鏡を見ても、僕にはなかったです」
話を聞いた直後、原因はわからないが少しだけ頭が痛くなった。




