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第20話 今度は、相棒を置いていきません

二番の扉を開けて、ガレスたちを出した。

出口では救助班が待ち、鞄と留め具も、記録をつけて受け取った。


カランの星が、消えかけた。

俺は扉を閉じ、箱へ手を置いた。


蓋は、ひどく冷たかった。

広間の端で、棚が傾いている。

保存された手紙の束が、台から滑り落ちた。


カランは、それを拾おうとした。

足が、一歩だけで止まる。


俺は手紙をまとめて台へ戻した。

それから、箱の前へ座った。


「カラン、聞いてくれ。おまえも、地上へ出るんだ」


箱は、俺の袖を押した。

二番の壁のほうへ。

おまえは行け、と言っているようだった。


この部屋を守るため、箱は残るつもりなのだ。

俺はその動きを見て、あの石棚を思い出した。

ロープの端。遠ざかる足音。


「俺だけ先に行って、おまえが帰らないのは、嫌だ」


短い足を、そっと握った。

カランは、歯を出さなかった。


「預かる物は、大事だ。でも、おまえを置いて、俺だけ帰ったら、ここの仕事をもう続けられない」


セナが隣へ膝をついた。

トーリも、道具袋を下ろした。


「だから、封域を戻す。終わったら、全員で帰ろう」


俺が言うと、箱の足が、少しだけ俺の手を押した。


トーリは、自分の杖の先を外した。

青い貯魔晶が、金具へ載っている。


「前に測った量だけ流す。これなら、短い扉を何度か支えられるはず」


高価なものだった。

俺が止めかけると、彼は首を振った。


「使うために持ってきた。ここで戻れなかったら、机へ飾ることもできない」


魔術師が量を確かめ、カランの金具へ結んだ。

光がゆっくり流れる。

一気には入れない。箱が蓋を閉じれば、そこで止める。


銀の線が、細く戻った。

全部ではない。

道を短く開けるだけの力だ。


俺は八番へ出た。

セナが前へ、カランが足元へ。

七番を置く場所まで、今度こそ進む。


柱の裏に、動かない石壁があった。

トーリから預かった符で、割れの広がっていないことを確認した。

俺は七番を釘で固定し、触れた。


指二本ほどの口が開く。

広間から、銀線の端が渡された。


たったそれだけの扉が、今は必要だった。


俺は線を受け取り、セナの後ろを進んだ。

手元では、箱の星が、まだ光っている。


もう、誰かが残ると決める前に、俺たちは帰るための仕事を始めていた。

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