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第17話 七番の扉が、開きません

封域の入口に、剣が折れて落ちていた。

ガレスの大剣だ。

刃の先が、見たことのない形へつぶれている。


救助班の剣士が、声を上げた。


「生きている者は返事を!」


奥から、盾を叩く音が返った。

バントが、倒れた柱の向こうにいる。

その後ろに、三人。


床の割れ目を、黒いものが通った。

蛇に似ていたが、体には石の節がある。

頭が動くたび、周りの小石まで同じ方向へ引かれた。


底喰い。

帰還庫の壁で見た、古い魔物だ。


俺は、七番の札を握った。

この近くへ新しい壁があれば、そこから全員を通せる。

でも、裂けた石は、触れると指の下で動いた。

使っていい壁ではなかった。


トーリが、俺の手を引いた。


「ここは無理だ。六番へ戻るか、南の八番までつなぐ」


地図を出した。

六番は後ろへ戻る道。今、魔物の頭が通路を横切っている。

八番の岩室へは、右の狭い段差から行ける。


セナが、その道へ槍を向けた。


「私が前。ノアは道の確認。カラン、後ろをお願い」


箱が四本の足を広げた。

俺は抱え直そうとしたが、カランは首のない体を振った。

自分で、歩いて追いつく。

そう言いたいらしい。


人を一人ずつ、段差へ渡した。

下は深い。

俺は縄を岩へ回し、両側の剣士へ渡した。

母さんが帯を縫い直してくれたときの手つきを思い出す。

結び目は、見えやすいところへ。

引く向きを、最初から間違えない。


最後の探索者が渡り始めたとき、底喰いの尾が柱を押した。

縄の片側が、ずるりと落ちる。


俺は空いていた収納から鉄の楔を出し、岩の割れ目へ押し込んだ。

腕一本の距離にしか出せない物でも、今はそれで足りる。

セナが槍の石突きで打ち、剣士が縄を掛け替えた。


落ちかけた足が、段差へ戻った。


カランは、尾へ飛びつかなかった。

落石が人の頭へ向かったときだけ、体で押し返した。

俺たちは、その間に進む。


八番の札が、暗い岩室の壁へ見えた。

俺が触れ、カランが星を光らせる。

道が開いた。


最初に怪我人。

次に、荷物の少ない人から。

荷が戸口で引っかかりそうなら、俺の収納へ分けて入れる。


最後に部屋へ入ったとき、箱の銀の線は、半分ほどになっていた。


外を閉じ、俺は二番の札を選んだ。

一層の出口が開く。


ところが、壁の端で、星が一つ消えた。


カランが、俺の足へ寄った。

広間全体が、ゆっくり狭くなっていた。

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