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第16話 財宝を欲しがる人は、帰り道を剥がしました

故郷へ二日行き、二日かけて戻った。

母さんはカランの前へしゃがみ、蓋の留め具を指さした。


「ここは、窮屈じゃない?」


箱が足を引くと、彼女は帯を縫い直した。

父さんは、俺が寝る部屋の床を心配し、最後には箱へ毛布を一枚くれた。


戻った街で、緊急の呼び出しを受けた。

別の隊の登録を使い、ガレスが迷宮へ入ったという。

金獅子の探索停止中だ。隊名を替えてよい話ではなかった。


盾使いのバントらが同行している。

フィオは断り、残されていた入坑票の控えをギルドへ持ってきた。

行き先は、第七層の奥。


「封域の魔石を取れば、全部取り返せる。そう言っていた」


彼女の声が硬かった。

イゼルさんは、討伐隊ではなく救助と封域確認の隊を組んだ。

俺たちには、帰還路を提供してほしいと依頼が来た。


俺は地図へ、八枚目の札の位置を記した。

第七層の南側、封域の外へある岩室。

父の回収後に、警戒調査へ同行した際、確認して置いていた。


残りはない。

九つ目の出口を、気分で増やすことはできなかった。


セナが槍の柄を握った。


「ノア。相手がガレスでも、行く?」


俺は少し考えた。

助けた後、戻ってこいと言われるのは嫌だった。

自分を死んだことにした人へ、手を出すのも、気が重い。


「行く。でも、終わったら、加入の話は二度と聞かない」


セナは、うなずいた。


俺たちは六番の札から、白い柱の分岐へ出た。

カランの光は十分ある。

魔術師二人と、救助班の剣士が後へ続いた。


北回廊の七番へ、歩いて向かった。

壁の印が、なかった。


札は釘ごと剥がされ、床へ落ちていた。

留め具に、刃物の新しい傷がある。


「金属なら、売れると思ったのかな」


トーリが、息を吐いた。


回収して、同じ場所へ付けようとした。

その瞬間、床の下が震えた。

壁の端から、石が一列、落ちる。


札へ光を通したが、扉の輪郭が歪んだ。

この壁は、もう使えない。


俺は七番を収納へ戻した。

八枚目が岩室へあることを、全員へ伝える。

逃げる道を一つ失ったが、まだ終わりではなかった。


奥から、人の悲鳴が聞こえた。


次に、鎖の切れる音。


カランの蓋が開いた。

牙を見せたのではない。

中の星空が、初めて、揺れていた。

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