【第5通】夢なれば
この物語はフィクションです。実在の人物、地名、団体名などとは関係ありません。
■■■は朝と夜に日記を書いている。この習慣がついたのはヴィーチェから2冊の日記帳を貰ってからだ。夜にはその日あったことを書き止めている。過去にあったことを思い出したり、振り返ったりすることができるというメリットがある。朝にはその日見た夢の内容を書き止めている。見た夢の内容を何日も覚えておくことは難しいからだ。俺が一昨日見た夢を語れと言われて語れる自信はもちろん一切ない。
この頃の■■■にはちょっとした目標があった。人生で一度でも良いから桜の木を生で見たいというものだ。■■■のいるフォメニール共和国の植生は日本に酷似しているが、桜の木だけ見つからない。
(おかーさんに聞いたけど、花びらが風に舞う様子がとても綺麗らしい。ぼくがもっと大きくなったら再現できるかな?)
「ところで、ソラ。あれから■■■の状態は大丈夫か?」
「あれからって、いつの話なんだ?」
「いやぁ…、日記を書くようになってから、記憶の混濁はもう起きてないのかなって」
「聞くの遅くないか?sa、8年くらい経ってるぞ」
「トラウマ掘り起こしそうだから本人の前じゃ聞けないし、かと言ってお前と2人きりになるタイミングとか全然ないかったし…」
「まぁ、お前のお陰でよくなったよ。7年前にはもう症状が出なくなってたよ。でも、今もたまに怯えた表情で起きてる時があるから何とかできないかとは思うんだけど」
「俺にも原因が分からないからどうにもできないんだ。だから、できる限りの対症療法は続けようとは思う」
「そこまで考えてくれてたんだな…」
「もしかしたら、ミロワかリーヴェが知ってるかもしれないとは思うんだが何かと気まずくて…」
「お前…、何かやらかしたのか?」
「いや、別に何も…」
「それは置いとくとして、今リーヴェ様に会うのは不安だな…」




