二人の動き
まさか!?
「くそが! 卑怯な真似しやがって!」
むくりと立ち上がった。
「ゴリラみたいな耐久力ですね」
平然とした顔だが、実際は冷や汗が流れた。
あの一撃はわたくしが打てる最高の一打だった。
なのに、まるっきりダメージを受けてないようにも見える。
「もう二度と同じ手はくらわねぇ!」
雷門が襲い掛かってきた。
力任せに拳を振り回そうとする。
「はぁ!」
それよりも早く手のひらを鳩尾にたたきつけた。
カウンターのように決まった。
「まだまだぁ!」
全く効いてないように腹部に拳を叩きつけようとする。
「ぐ!」
辛うじて左腕で受け止めた。
その代償に骨が歪み、みしりと鳴った。
やばい。
折れたかもしれない。
「ほらほら、どうした!」
暴風のような拳の連打
なんとか受け流すが、そのたびに骨がきしむ。
受け身は駄目だ。
反撃しないと。
相手の機先を制する。
「はぁ!」
わたくしが打ち込もうとするより早く――。
「おらおらおらぁ!」
雷門が鬼の形相でラッシュをかけてきた。
やばい。
向こうのほうが勢いにのってる。
先の先を制するタイプは勢いが強いほうが有利だ。
翼と交代するべきか。
いや、これほどの攻めはあの子でも防げない。
「私でも彼には苦労したもの」
お姉さまがわたくしを見つめる。
その目には期待が込められていた。
「彼はあなたと似たタイプ。でも、少し違うわ」
これはお姉さまなりのアドバイスだ。
「でも、あなたなら大丈夫。今まで私を見てきたなら、その全てを使って勝ってみせて」
もちろんです。お姉さま。
「当たり前だ! お姉さま!」
雷門の拳を片手で掴む。
「はぁ!?」
雷門が驚愕に動きを止めた。
一瞬で違和感に気づいたのだろう。
わたくしだけでもない。
オレだけでもない。
二人の思い描いた動きに。
「こっからが本番だ!」
雷門の顎を手のひらで突き上げた。
さらに何度も鳩尾を拳で殴打する。
「ち、女の力でなんとかできると思ってんのかよ!」
雷門が拳を振り回す。
咄嗟にその腕を掴んで飛びついた。
そのまま上腕部を両脚で挟んで地面に倒した。
更に相手の肘関節を逆に伸ばして極める。
腕十字固め。
「いででで!」
「降参する?」
「だ、誰が! するかよぉぉぉ!」
雷門が強引な腕力だけで外そうとする。
ミシミシと嫌な音が聞こえた。
やがて、何かが折れたような感覚と雷門の絶叫が響き渡った。
折れた。
雷門から体を離す。
さすがにもう動けないだろう。
というか、
「ってぇ」
激しい頭痛。
二人でお姉さまの動きを再現したが二人分の思考に正直、頭がパンクしそうだ。
まだいけますか?




