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息が合う瞬間

 翼の返事がない。


 時間切れか。


「おらおら! まだまだいけるぜ!」


 雷門の激しい拳のラッシュ。


「ぐぅ!」


 受け止めきれず何発か食らって弾き飛ばされた。


 運悪く、スポットライトに背中からぶつかり肺から息が漏れた。


「あぁ! ライトが! 高かったのに!」


 衝撃でライトは粉々に壊れていた。


 一気にあたりが薄暗くなった。


「ぐ……ぅ」


 なんとか立ち上がる。


 もう指ぐらいしか動かない。


「とどめだ」


 雷門が近づいてくる。


 まだ動けるのか。


 もう、駄目だ。


 思わずお姉さまのほうを見た。


 無表情。


 何も感情が見いだせない。


 お姉さま、わたくしが負けてもいいと思ってる。


 そうか。お姉さまはわたくしが負けてもいいと思ってるんだ。


 そのほうが義則はランキング入りが確定となり、面白い展開になるからだ。


 なら、負けてもいいか。


 負けを覚悟したそのとき、わたくしの意識が失った。




 意識下。


 まるで深い水の中にいるようだ。


『で、このまま負けるのかよ』


 気が付けば、翼が目の前にいた。


 おそらく夢のようなものだろう。


『あなただって負けたじゃない』


『オレはまだいける』


『わたくしだって』


『あなた、戦うのが嫌でしょ』


『そうだ。でも、負けるのは』


『もっと嫌』


 互いに笑いあう。


 初めて意見があった。


 そうだ。お姉さまのためだけじゃない。


 わたくしはわたくしのために。


 オレはオレのために。


 勝つ。



 気が付けば、


「ち、くそが」


 雷門が蹲っていた。


 脂汗がびっしりだ。


 雷門も体力の限界か。


「へ! まだまだぁ!」


 雷門が気力で立ち上がった。


「とどめだ」


 ふらふらになりながらもゆっくりと近づいてくる。


 どうする。


 お姉さまならどうする。


 薄暗い環境。


 疲労で正確な判断ができない。


 単純な性格。


「ねぇ、催眠術って知ってる?」


「あぁん?」


 雷門が呆気に取られて動きを止めた。


「そりゃ、おめぇを見てればあるってのは信じてるぜ」


 そして、催眠術に抵抗がない。


 もしかすると――。


 わたくしは指を突き出した。


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