気づかれた
屋上に上っていく途中、義則と警官を見つけた。
いつの間にか義則の手には手錠がかけられていた。
「デートがあるんです! 勘弁してください!」
「君に?」
めちゃくちゃ訝しげだ。
確かにこんなやつとデートしようなんて奇特な相手は存在しないだろう。
幼馴染のオレ以外は。
「本当なんですって! 女子力五万くらいの子なんですって! 拳に女子力込めて殴ることができるんですよ!」
「お兄さん、具現化系だね?」
「念じゃない! ほんとに違いますって!」
よし、出ていくか。
こほん。
のどの調子を整えて、と。
「すみません。ちょっといいですか?」
極力、すました声を出した。
「き、君は!?」
義則が声を上げた。
さすがにバレたか。
「その人、私と待ち合わせしていたんです。それで、ちょっとふざけすぎてしまって」
オレは頭を下げた。
「わたくしたちは御堂高校の生徒です。生徒手帳も提出します。もう二度としないので許していただけませんか?」
警官がしばらくオレたちを交互に見つめる。
やがて、深いため息をついた。
「……屋上は別に立ち入り禁止ってわけじゃないから注意だけの予定だったんだよ。反省しているなら生徒手帳はいいよ」
「で、でも」
「今回だけ見逃すから次からは気をつけなさいよ」
警官が義則の手錠を外した。
態度が微妙におざなりだ。
関わり合いになりたくないという意思が感じられる。
「助かったー! お礼に自動でブサイクをやっつけるブサイク殺しをあげます!」
義則はポケットから日本人形を取り出した。
「ブサイク……コロス」
日本人形が義則に襲い掛かった。
「こいつ、創造主に襲い掛かりやがって! 機械が意思を持って反乱してやがる!」
いや、それお前がブサイクだって認識されたからじゃないか。
「……君、男を見る目はしっかりとね」
なんか同情されてる。
「ありがとうございます」
去って行く警官の背にオレは再度、頭を下げた。
「あの人形め。なんとかビーフジャーキーを毎日納めることで納得してもらった」
ビーフジャーキーでなんとかなるのかよ。
「君のおかげで助かったよ。俺が長男だから我慢できたけど。次男だったらぶん殴ってた」
生まれた順番とか関係あんの?
「というか」
義則がじっとオレの顔を見つめてきた。
バレたか。
なりすますなんてやっぱり無理があった。
しょうがない。あとは適当にやるか。
「こんな格好してるのは別にお前のためじゃなくて――」
言いかけたそのとき――。




