第24話 今度こそ、抱いてもいいですか?
カシスタンが長い告白を終えると、室内には静寂が訪れた。
揺れる灯籠の優しい光だけが、私たち2人の間を満たしている。
「ずっと見守ってくれていたのは、あなただったのね」
私はそっと手を伸ばし、カシスタンの頬に触れた。
「迎えに行く……その約束を守ってくれたのね」
カシスタンは私の手に、そっと自分の手を重ねた。
「こうして触れられる日を、ずっと恋い焦がれていた」
「恋?」
「ええ、君は僕の初恋であり、唯一無二の恋です」
温かい指先。
そのぬくもりは、愛花として何度も感じてきたそのものだった。
「何度も助けてくれたわね。ありがとう」
「お礼なら、キスでいただけると嬉しい」
彼の正直で切実な告白。
「感謝の想いは、キスでは足りないくらいよ」
「キスだけで満足できるとは、言っていません」
カシスタンが私を抱き寄せる。
「んっ……」
口づけは優しく、そして、深くなる。
彼の愛の深さが、時間を超えて私に流れ込んでくるようだった。
私の体は熱を帯び、自然と小さな吐息が漏れた。
カシスタンはそっと唇を離し、額と額を合わせた。
触れ合っているのに、全身がまだ足りないと求めている。
「今夜は帰さない、そう言ったのは君だよ」
「それは、変な意味ではなくて……」
「わかってます。でも――僕が限界だ」
まるで黒い炎のような瞳が、愛おしそうに私を見つめている。
「もう他の男には触れないでくれ。僕だけのものでいて欲しい」
彼の声は低く甘く、私の耳元で響いた。
「今度こそ、抱いてもいいですか?」
「私は――」
カシスタンは私の答えを、唇で塞いだ。
「答えは、YESしかいらない」
私をそっと抱き上げると、優しく、そして焦がれるように、私の服を剥いでいく。
「夢で見た通り、柔らかく、温かい」
彼の唇は首筋から鎖骨へと吸い付くように降りていき、愛の証を刻みつける。
指先が触れる場所すべてに、甘い痺れが走る。
「綺麗だ、アリアンディ」
カシスタンは、愛花だった頃の私の魂だけでなく、アリアンディの体温、肌の感触、吐息のすべてを求め、そして受け入れてくれた。
「カシスタン」
たっぷりの愛を注がれたあと、少しだけ枯れた声で呼ぶ。
「アリアンディの初めてが、愛する人でよかったわ」
カシスタンは私の額にそっと口づけを落とした。
「愛花が、愛される喜びを、知ることができてよかったわ」
長い間さまよっていた魂が、ようやく帰るべき場所を見つけた。
私の魂と彼の魂が、今、強く結びついたことを感じた。
「もう、誰も引き離すことはできない」
カシスタンは愛おしそうに呟くと、また深く長い口づけをした。
その夜、私は彼の黒曜石の瞳の中へ、愛の渦の中へと、深く、色濃く溺れていった。




