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【完結】夫と義母に娘を奪われ死んだ転生令嬢は、辺境伯に前世ごと溺愛される  作者: はなたろう


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第23話 カシスタンの告白

赤いルビーのような瞳が、灯籠の光を映して揺らめいていた。

ずっと僕が恋い焦がれていた、どんな宝石よりも美しい光だ。



瞳の色こそ違えど、その奥に宿る光は何も変わらない。

そう、魂の波動がまったく同じように。



愛花もアリアンディも、変わらずに美しく、そして愛おしい。



「僕は愛花と直接会ったことはありません。もちろん、触れたこともない」


「え?」



ボクの言葉に、驚きを隠せないのだろう。



アリアンディは前のめりになり、両手をぎゅっと握りしめている。

その仕草がなんとも可愛らしくて、こんな状況なのに僕の口元は自然と綻んでしまう。



「さて、どこから話を始めましょうか……」



アリアンディに語りかけるように、そして自分自身に言い聞かせるように。

僕は過去の出来事を1つずつ辿っていくことにした。






10歳でルートベアに養子に出され、慣れない土地での生活を余儀なくされた。


ルートベアの土地は寒さが厳しく、夜になると山から冷たく強い風が吹き付け、窓をガタガタと揺らした。

寒さよりも孤独のほうが耐えられなかった。



夜が来るのが怖かった。

孤独と不安に押し潰されそうな、そんな日々だった。



ある夜、空に赤い星が出ていた。



その夜から、毎晩のように同じ夢を見るようになった。



夢の中に現れたのは、儚くも強く、そして美しい1人の女性だった。



「アリアンディ、いや、愛花のことだよ」



夢で君に会えるようになると、僕は眠るのが怖くなくなった。

それどころか、夢の中の君に会うために、早く夜が来ることを願うようになった。


孤独な日々を彩ってくれた、たった1つの光だ。



ある日、義父は僕を山岳地帯の部族のもとへ連れて行った。



薬学、呪術、天文占星術など、独自の文化と力を持つ彼ら。

ひっそりと暮らすことを望んでいたが、その特異な力を欲する為政者も多い。


ルートベア領主は、彼らを隣国からの干渉から守る役目を担っていた。



『黒曜石の瞳か』



ある長老は僕の瞳を見て、楽しそうに笑った。



『この少年には輪廻へ介入する力がある。数奇な力の持ち主だな』



僕が毎晩同じ夢を見ることを伝えると、長老は時空を越えた異世界があることを教えてくれた。



それから、僕は自分の能力を知るため、不思議な力について学んだ。



愛花が眠っているときだけ、その意識に触れ、語りかけることができるようになった。


最初こそ笑顔が多かったのに、愛花の表情は次第に影を帯びていった。

そして、会うたびに涙を流すようになってしまった。



愛花が悲しい死を迎えた後、その魂をこの世界に呼び寄せた。



それは確かな手応えがあったのに、転生したはずの愛花の魂を、僕は見つけ出せないまま月日が流れた。



この世界での3日前。



オリフタンの結婚式に参列するため、マルゼンダに向かう道中。

馬上から見上げた空に、赤く燃えるような星が流れ落ちた。



雷に撃たれたような衝撃。



ようやくこの世界にいる愛花の、君の柔らかな魂の波動を感じ取ることができた。



しかし、喜びも束の間だった。



「オリフタンの結婚相手が、アリアンディだったなんてね」



元々、義母の悪事を暴く準備が整い、父上を救いに行くはずだった。



それが、花嫁奪還になるとは予想していなかった。



それもまた、赤い星の導きなのかもしれない。

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