思いふける夏~家族~
夏、梢はほどよい暑さの中で畑仕事などを行っていた。
途中でやってきた音彩にも仕事を依頼すると、まだ幼い光たちがやってきて自分たちも手伝いたいといいだす。
どれも安心して任せられないと悩む梢の所に音彩が戻ってきて──
夏は、ほどよい暑さが心地良い季節だ。
と、言うのがみんなの話。
日差しは暑いが木陰に入れば涼しく、夕暮れになると過ごしやすくなるらしい。
と言われてみるが日中活動をほぼしない私にとっては春より暑いが過ごしやすい、というものだ。
ではドミナス王国と、ムーラン王国は?
ドミナス王国は日差しが暑く夕暮れに要約涼しくなるらしい。
でもってムーラン王国は日中も暑く、夜も暑いので今は王宮に私がハイエルフさんたちにお願いして作ったエアコン、魔道エアコンなるものでしのいでいるらしい。
国民にも行き渡らせたいから安価にする方法をハイエルフさんたちに資金提供して研究して貰って居る。
まぁ、どちらも避暑でこの土地に来ているのだ。
どっちも暑いんだろうで私は完結した。
夜、畑の整備やら家畜の世話やら色んな事を行っていた。
「お母様、手伝いましょうか?」
音彩が声をかけてきた。
「あーじゃあ織姫から頼んだ布を受け取ってきてくれる? それをレイヴンさんに持って行って欲しいの」
「はい!」
元気よく返事をする音彩。
織姫のいる小屋へと向かっていくのを見て少し思った。
もし、私の世界ならあの子は高校生になってたかもしれないんだよね。
と。
晃、肇、音彩は再来年の春で18歳になる。
音彩は18歳になったら結婚する。
晃と肇も、18歳になったら私に付き合っている子が誰なのか明かすとクロウは言っている。
「あと2年切ったかぁ」
子どもたちは私の元を巣立つのだろう。
森からは出ないとクロウが断言しているので、森で生涯を終えるのだ。
ただ、それは少しばかり寂しくないかなと思ってしまう。
私には、思い出したくない記憶満載だけど、大切な記憶が前の世界のものにある。
この世界の記憶はどれも色々と考えさせられたりするが素敵なものばかりだ。
まぁ、ロガリア帝国という存在が記憶から抹消したい存在だが。
もう無くなったし、いいかと思っている。
それはそれとして、18歳というと大学生か社会人が一般的……なのかな?
ただ、あの子達はクロウからこの世界の事を色々と教えられ、魔法? 魔術? とかも教えられている。
私より物知りだ。
一回私にも教えて欲しいと頼んだが、クロウが。
『お前は余計な事を知らない方がいい』
の一点張りで却下された。
余計なことはないだろうと憤慨したが、よく考えてみるとアレはお人好しの私が傷つかないための言葉だったのだろう。
世界樹を各地に植えた時のことを思い出す。
たしかそこで私は敵視された記憶がある。
きっと世界は私が思っている以上に残酷なのだろう。
だからそれを知らせなかったのだろう。
私は森で暮らしている。
この始祖の森で。
外の世界はたまに情報で知る程度でいい。
私にとって外の世界とはそういうものだから。
「ママ!」
「ママ‼」
「ママ‼‼」
大声で私を呼ぶ光に忍に楚良。
「どうしたの、三人とも」
まだ三歳だが、もう三歳以上の行動をとる三人。
ただし、いつも三人一緒。
例外はルカ君が来るとき。
「おてつだい‼」
「するの!」
「おてつだい、おてつだい‼」
手伝いたいと口にするが、私は頭を悩ませる。
果実の収穫で残っているのは木の上なので落下したら怪我をする。
畑の作物は地面に埋まっているタイプのものだけが残っているがこの子達には引っこ抜けない。
家畜の世話は終わっている。
どうしよう。
「光、忍、楚良。どうしたの」
音彩が帰ってきた。
「おねーちゃ!」
「ねいろおねーちゃ!」
「ねいろおねーちゃ‼」
にこにこ笑顔で音彩に駆け寄る。
「ママのおてつだいするの!」
「するの!」
「の!」
音彩は苦笑していう。
「ごめんねーお手伝いはお姉ちゃんがしちゃったからお仕事ないのよー」
と笑顔で嘘を言う。
「「「えー! ずるいー!」」」
むくれる三人。
「だから、お姉ちゃんと遊びましょうね」
「「「! うん!」」」
音彩は三人を連れて家へと戻った。
その時私を見てウィンクをした。
本当、賢い子だ。
私は大急ぎで残りの作業を全部終わらせ、クロウの元に行った。
「クロウー、ちょっといーい……ってなんでアルトリウスさんたちがいるの?」
クロウの屋敷には、アルトリウスさん、アインさん、ティリオさんがいた。
「ああ、梢ちょっとばっかし話をな」
「何の?」
「晃と肇のだ」
「分かったそれ以上聞かない」
「助かる」
晃と肇のこと、ということはつまりあれの可能性が高いがそうだったようだ。
内容は、二人の恋人に関すること。
どんな内容なのか気になるが、今はまだ伏せておかないとダメらしい内容。
なので私は知らないままでいなくてはならない。
あの子達が、何故かわからないが知られたくないと思っているから。
それにしてもなんで知られたくないんだか?
と、思ったがその言葉は飲み込むことにした。
「で、梢どうした」
「いやね、光たちがお手伝いしたい時期になってるんだけど、危険だからあんまりさせたくないのよ」
「分かる」
「確かにそうですね」
「おっしゃる通りです」
どうやらアルトリウスさんたちも同じ状況のようだ。
「狩りに同行したがるのでダメというと泣き出す」
「私の術系等を知りたがるが、まだ早いというと泣き出すのです」
「薬を作っていると素手で毒草持ってくるので慌てて取り上げて叱ると泣き出します」
うん、カオス。
これは大変だなと苦く笑ってしまう。
「コズエ、光たちは何をしていますか?」
「音彩と遊んでいるはずよ、家で。音彩たちには助けられるわー本当」
「確かに」
「できないという事実をそらして遊ばせる方向に以降させるの上手ですしね」
「さすが兄、姉、と言ったところでしょうか?」
「うん、そうね」
頷く三人、私や子どもたちを大切にしてくれる旦那さんたち。
そして家には私たちを手伝う子どもと、手伝いたがる小さな子どもたち。
お母さん、これが私の家族だよ。
私にとって素敵な家族。
ねぇ、見てるかな?
家族回です。
光たちはお手伝いしたいんですが、まだまだ危なっかしいのでさせられないという結論がでてます。
それなので、上手いこと遊びに誘導しようという話になってます。
そして晃と肇のお相手さんはまだ秘密です。
でも、今まで書いた話に登場はしてます、一応。
お待ち頂ければうれしい限りです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




