復讐と因果応報の女神ネメア~神との対話~
梢は夢の中で母に謝罪する。
向こうの世界で死んだことを。
そして梢は夢見が悪いとクロウの元に行くと──
夢を見た。
お母さんが私を抱きしめて泣いている夢。
『ごめんね、気付いてあげられなくてごめんね』
何度もそう謝るお母さん。
私は言う。
『お母さんは悪くないの、言わなかった私が悪いの──』
そこで目が覚めた。
「……夢見は良くないね」
親不孝をしてしまったと思っているからかあんな夢を見たのだろう。
「お母様、おは……どうしたの?」
「ううん、ちょっと夢見が良くなくてね」
音彩が聞いてきた。
そんなに酷い顔をしていたのだろうか、私は。
「お母様、お父様達か、クロウおじ様に相談したほうがいいわ」
「……そうね、じゃあクロウにするわ。色々詳細知ってるのはクロウの方だろうし」
「うん」
「でも、その前にご飯食べていい?」
「ええ!」
私は音彩が作った卵焼きとご飯、味噌汁に、ほうれん草のおひたしを食べた。
ほっとする味で美味しかった。
ご飯を食べて、歯を磨いて、クロウの屋敷に私は向かった。
「……そう言う夢を見ちゃったんだけど」
「それは夢では無い」
「え?」
「お前の母はこちら側の天界、いや神界に来たのだろう」
「そう、だね。確かに……」
思い出す。
私は母を連れて此処に来た。
死せる母の魂をこの世界へと導いた。
「お前の母は全てをデミトリアス神より聞いた」
「え゛?」
ちょっと待って全てって?
「お前がこの世界にいたる全てを」
「ヴァー!」
奇声を上げてしまう。
ちょっと神様!
何してくれてんの!
『いやお前の母が儂等にどうしても聞きたいと言ってきてのう』
だからっていいますか⁈
『じゃないと儂等が諸悪の根源扱いされるし……』
確かにそうですけど!
もうちょっとこう誤魔化すとか、言葉を綿で包むとかできなかったんです⁈
『マリーができんことじゃぞ、できる訳なかろう』
もうー!
私は頭を抱える。
前の世界の自分を恨めしく思った。
でも仕方ないじゃないか!
あの時の私は其処まで追い込まれてたんだ!
逃げる道を考えられなかったんだ!
と、自己保身に心の中で走るも自己嫌悪が出てくる。
『でも、あの時お前は死のうとしていただろう?』
ってね。
あー!
其処まで追い詰めた連中を恨めばいいのか、それとも追い込まれても逃げられなかった自分を恨めばいいのか分からない!
『そこは、追い詰めた連中じゃろ』
神様、軽く言ってくれますけどねぇ……
『まぁ、お前を追い詰めた連中は皆ネメアに寄って罰を受けておるしの』
ネメア様って、確か復讐とかの神様?
『そう、女神ネメア。復讐と因果応報の女神。ネメアに目をつけられたらまず逃れられぬ、罪人たちはな』
……すっかり忘れていたから私どうでもよくなってたんですけど、ネメア様私を思って復讐したんですよね?
『そうじゃの、お前をいたぶった連中は死んでるし、追い詰めた輩も最終的には死を選んでいる』
……そこまでしなくても私は良かったんですけどね……
『まぁ、そういうな』
そういうな、言われましても。
『神々の愛し子となるお前さんが前の世界では死を選ぶ程追い詰められてたと知ったら何かしたくなるものよ』
そういうものですか?
『そう言うものじゃよ』
そこまで話してふと気がついた。
私ネメア様とはお話してない。
あの、ネメア様とお話したいんですが。
『それは無理じゃな』
どうしてですか?
『ネメアはああ見えて極度の人見知りじゃ、復讐と因果応報の女神だがよほどのことが無い限り会話をしないんじゃ』
よほどのことってどのくらい。
『お前さんが死のうと思ったのを知った時、彼奴はお前を追い詰めた連中の夢枕に立ち「お前達は罪を犯した、許さない、許さない、死から逃れられると思うな」と言った位じゃな。それ位お前さんが大事なんじゃよ』
でも、会話はないと。
『いやーお前さんが復讐する気が無いくらい忘れてるのを知らずに呪ってしまったから、ネメアは「やっちまった」と思ってお前に合わせる顔がないと引っ込んでいるんじゃよ、嫌わんでくれよ』
ネメア様、ある意味私には慈悲深いのだろう。
だから、私の為と思ってあんなことをしたのだろう。
怒りませんから、ネメア様とお話させてください。
「うーん、ちょっと待っておれ」
しばらく沈黙が続き、そして。
『ほれ、ネメア。梢が話したがっている、きちんとせぬか』
『わ、分かっております。デミトリアス神様……』
えーと貴方がネメア神様ですか?
『そ、そう。妾が復讐と因果応報の女神ネメア』
えーまずは、ありがとうございます。
私の為を思って復讐したことを。
『か、勝手に復讐したことを怒らぬのか?』
怒りませんよ、別に。
で、復讐対象は私を追い詰めたり、いじめた連中だけですよね。
『も、勿論じゃ』
ならいいです。
復讐したいほど憎かった時期がありましたから。
代行感謝です。
『そ、そうか』
ですからコレからも私達を見守ってくださいね、デミトリアス神様と一緒に。
『うむ』
『では、良いかの』
はい、構いません。
復讐は成された。
私の知らぬところで。
でも十分だ、復讐しても心は晴れないというが、復讐する方がすっきりすると言うし。
自分の手を汚さないのもありがたい。
でも、こんなことが起きない事を、この世界では願う──
因果応報とは女神様のことでした。
確か前に女神様が復讐した話書いた気がするので……
あれ、違ったかな?
まぁ、女神様がやっちまったことを謝罪するお話です。
梢は自分が手を出さなくてよかったと思っているので、文句はありません。
さて、ここまで読んでくださりありがとうございました。
反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




