23年目の夏~知らなかった事を少し知る~
23年目の夏が訪れた。
ドミナス王国からはマリアたち、ムーラン王国からはカナン、マリーローザたちがやって来た。
そこで耳にした情報に疑念を抱くと、クロウがとんでもない真実を語る──
マルファスさんは視察と交流を楽しんで帰って行った。
勿論白亜を護衛につけさせた。
で、それと入れ替わるように、ドミナス王国とムーラン王国から手紙が届いた。
内容はいつも通りだったので、クロウに頼んで返信とかお願いした。
そして、22年目の春が終わる──
『夏ですよー』
『夏ですよー!』
精霊と妖精が飛び交いながら夏の到来を告げた。
それからまもなく、ドミナス王国とムーラン王国の王族の馬車が始祖の森にやって来た。
「コズエ様!」
「イザベラ様!」
イザベラ様が私に近づき手を握る。
「「コズエ様!」」
「カナン様! マリーローザ様!」
カナン君とマリーローザちゃんは私に抱きつく。
「ようこそいらっしゃいました」
「いつも来ても良いという許可を下さりありがとうございます」
「いえいえ……」
私は首を振る。
「クロウの奴どういう文章で書いてるの?」
私は聞こえない位の声でぼそりと呟いた。
本当は手紙を出すのもやりたいけど、毎度文章を直されるので「だったらお前が書けやごるぁ!」とクロウに押しつけたので文章は知らない。
「クロウ様、色々と心配してくださってますの」
「そうなのね」
イザベラ様の言葉に私は少し安心する。
「それにしても、カナン様もマリーローザ様も大きくなられましたね」
「はい! もう直ぐ12歳になるんです」
「勉強も、頑張ってますわ!」
カナン様は王太子として育てられることとなる。
マリーローザ様は侯爵家に嫁がれ、そこで暮らすこととなる。
しかし、何故公爵家じゃないんだ?
今更ながら首をかしげる。
分からないことがあったらクロウに聞け、ということなのでクロウの屋敷に私は向かった。
「ねぇ、クロウ。なんで公爵家じゃなくて侯爵家にマリーローザちゃんは嫁ぐの?」
「ああ、言い忘れていたが、以前イザベラたちがこちらに避難してきたことがあっただろう? あの騒動を起こしたのは公爵ばかりで、今ムーラン王国に公爵と呼べる地位の者は一人もおらんぞ」
「ちょっと待て」
それはそれで大問題じゃないのか?
公爵って王家に近い立場の人達が軒並み処刑?
うへぁ。
「マリーローザが嫁ぐ家は後に公爵になる」
「なるほど」
「そうすれば王家に相応しかろう」
「でも、公爵の立場の方たち全員反旗翻すってどれだけ私嫌われ者なの」
ちょっと泣きたい。
「昔ながらの頭の固い馬鹿共のことなどきにするな」
「気にするー!」
私はがくりと項垂れた。
今更ながらムーラン王国クーデター未遂事件の顛末を知ることになる私だった。
めっちゃ凹んだ。
「ドミナス王国でこういうのは無かったんですか?」
ムーラン王国での話をしながらマリア様に聞く。
「愛し子様、お忘れか。ルキウスの件がありましたでしょう?」
「いや、その当事者だけどあんまり関わらせてくれなかったので……」
私はごにょごにょと言う。
「そうですな、愛し子様には伝えておりませんでしたが、こちらもかなり大きな騒ぎがありましたよ」
「やっぱりー⁈」
声を上げる。
マリア様は苦く笑っている。
「ルキウスが王太子候補だった時、愛し子様のご息女・ご子息はダンピールと吸血鬼で森からでないというのを共有した後に、ルキウスがご息女に恋をしてしまったご息女がたぶらかしたからだ、森に行ってご息女を殺害しろという声まであがりました」
「……なんとも言えませんね」
「それ位ルキウスは愛し子様のご息女に熱を上げていたのです」
その言葉にため息をつく。
勿論安堵のため息だ。
だって、音彩の命が狙われていたんだもの。
私の子どもたちは、私の宝物、音彩も当然。
何もなくて良かった。
「エンシェントドラゴン様が手を色々と回してくださったのです、あれでも」
「あれでも⁈」
私は驚いてしまう。
「でも、我が国でもエンシェントドラゴン様をただのドラゴンと見なす馬鹿がいますからね……ああ、そういう輩は爵位を降下させるか何かしましたが」
私の知らない間にそう言った事が起きていたなんて。
なんか悲しいというか、辛い。
ついでに深いところまで知らされていないのが辛い。
「これ以上はあまりお話できません。エンシェントドラゴン様に口止めをされているので」
「クロウェ……」
私は遠い目をして、マリア様にお辞儀をした。
そして大股で歩き出した、クロウの屋敷に──
「なーんで私になんも教えてくれないの!」
「当事者だろうが、お前が傷つかぬ保証はなかった」
クロウは淡々をタルトを食べながら紅茶を口にしていた。
「私は音彩たちの親なの! 親は普通子どもを守る義務があるの!」
「普通はな」
「……何か言いたげね」
「大人になったら親に守られないのか?」
「私がこっちの世界に来た原因の話はおいといて!」
「いや、良くないだろう。親こそ傷ついた時、大人でも大事にする義務があるのだから」
「……」
私は言い返せなかった。
これは母が悪いわけじゃない、頼れなかった私が悪いのだ。
お祖母ちゃんしかしらない、内緒にして言っていたから。
だから、非があるのは私だ。
「それは私がいわなかったから、だからお母さんは知らなかった」
「気付くのが親では?」
「気付かないこともあるのよ親でも!」
私は怒鳴る。
全く、クロウの奴本当何考えてるんだか。
「何故、お前は言わなかった?」
「大人になったから親に心配させたくなかったのよ。お父さん死んでお母さんとお祖母ちゃんしかいなかったから」
「……そうか」
「本当は誰かに頼りたかった、でも頼れなかった。だから私は此処に来た」
「なら、頼った末の行動だと思え、お前を思いこれ以上傷つけたくないと我らが思った結果だと」
「……納得したくないけど、それで納得するわ」
「それでいい」
クロウは紅茶を飲み干した。
私は息を吐いた、重い吐息を。
ごめんね、お母さん。
私本当、親不孝だった。
そんな事を思った──
ドミナス王国とムーラン王国であった出来事ですね。
内情はもっと酷いものと想像してください。
クロウもかなりの脅しをしていました当時。
そして口止めをしていましたが、片方はクロウ言っちゃいましたね。
今の梢なら大丈夫だろう、と。
マリアも同様です。
でも、かなり狭めて言っています、それほど酷かったのだと思ってください。
そして軽く自責の念に囚われる梢。
相談できなかった自分に責任がある、親不孝な娘だと。
でも、梢が相談していたらこうならなかったし、梢は自殺していたもしれません。
なのでこれが正解なのです。
梢は祖母の願いで、愛し子になり異世界転生(かつ異世界転移)して、スローライフをしていたのが正解なのです。
ここまで読んでくださりありがとうございました。
反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




