母の死、子等の誕生日
梢の母が死ぬ日は子ども達の誕生日の前の日。
梢はちょっと神様からと誤魔化して棺桶に入り眠りにつく。
次見た光景は年老いた母が病室で年をとった兄達に見守られている状況だった──
母が死ぬと指定された日は、光たちの誕生日の前の日だった。
私は「ちょっとデミトリアス神様から言づてがあるから」と行って棺桶に入り目を閉じた。
母は、病院の病室にいた、個人部屋。
すっかり年をとった兄達が母を見守っている。
「梢……」
私の姿が見えたらしい母は私に手を伸ばした。
「おい、お袋、何を……梢⁈」
兄達はぎょっとしている。
そりゃそうだろう、死んだ時と変わらぬ姿で私が立っているのだ。
「梢、連れて行って……貴方のところへ……」
『うん、分かった。お母さん』
母の手を握ると、母の魂が体から抜けて、心臓がしばらくして止まった。
『じゃあね、兄さんたち』
私はそう言い残し、母の人型の魂と手を繋ぎながらその場から姿を消した。
「神様、母の魂、どうしましょう?」
こっちに来たら、人型ではなく球体で淡く光る魂になった母の魂を手に持ちながら私は言う。
「本来ならこちらにあるべきではない魂だが、梢の生涯を見届けたいという意志が強い、特例でマリーのような扱いをしよう」
「感謝します」
そう言って魂を神様に渡すと、魂は若々しい母の姿になった。
「梢……!」
母は私を抱きしめた。
「お母さん……」
「ごめんね、辛いの何も分かってあげられなくてごめんね……!」
「……お母さん……」
ああ、やっぱり親不孝者だったよ私。
将来とか仕事とかの相談しておけばよかった。
なんて後の祭り。
「謝るのはこっちの方だよ、お母さん」
「私、貴方のお母さんなのに、何も分かってあげられなかった! 死んでようやく分かるなんて親失格よ!」
「お母さん……」
やっぱり、私の死は母を追い詰めていた。
自殺じゃないにしろ、それでも突然死は母には受け入れられなかったようなものだ。
「……いいんだよ、お母さん。私、突然死して異世界に転生して幸せになれたの、見てたでしょう度々」
「ええ……でも」
「これはこうならなかったら私の幸せは無かったの」
「幸せは無かった?」
母が首をかしげる。
「そう、今こんなに幸せなのは異世界転生して、結婚もして、子どもも産んで、子育てに忙しいけど、この幸せは向こうではつかめなかった」
「……本当?」
「本当」
母の問いかけに私は頷く。
「この世界に来てスローライフを始めて」
「色んな種族の人に会って」
「交流して、友達? になって」
「大切にしてくれる人達と結婚して」
「子どもも生まれて」
「悪友で、そして大切にしてくれる親友は私の為に何かしてくれて」
「──みんなに大切にされているの。会社で働いて、会社の道具扱いされて、学校ではいじめられたりしたけどそんなこと忘れる位幸せなの」
「いじめ⁈ そんなのもあったの⁈」
「あ、やべ」
私は口を滑らせたと失敗したと思った。
「……でも、どんないじめだったか覚えてる?」
「忘れた、皆のお陰で」
正直に答えると、母は穏やかに微笑んだ。
「なら、よかった」
「小百合さん」
マリーさんが、鞠子お祖母ちゃんが母の名を呼ぶ。
「義母さん?」
「ええ、小百合さん、私です」
「義母さんが無くなってから、私、家族を支えられましたかね?」
「勿論よ」
お祖母ちゃんが微笑むと、母は涙した。
「良かった……」
「後は、向こうの世界の孫達に頑張って貰わないとね」
「……」
母は黙る。
お祖母ちゃんは神様に言う。
「デミトリアス神様、時々でいいので向こうの世界の様子も小百合さんに見せてください」
「鞠子がいうんじゃ仕方ないの」
「! 義母さん、ありがとうございます!」
「いいのよ」
母は歓喜の涙を流し、お祖母ちゃんは穏やかに微笑み頭を撫でていた──
翌日、料理をクラフトで作りまくった。
少しだけ早めに起きて。
そして叱られた。
「無理をするなとクロウ様にも言われているだろう」
とか、まぁそういう類い。
でも、子どもたちの誕生日だからお叱りも軽め。
「光、忍、楚良、三歳のお誕生日おめでと~~!」
「さんしゃい!」
「ぱちぱち!」
「おいちおいち」
「楚良ったらもう食べてる!」
目の前のご馳走に我慢できなかったらしい楚良が既に食べて居て、音彩が若干苦笑いを浮かべていた。
「そらじゅりゅい!」
「じゅりゅい!」
「光と忍の分もあるからねー、食べていいのよ」
「「あい! いちゃらいきましゅ!」」
光と忍もあむあむと食べ始めた。
食べやすい様に作った料理だが、嫌がって投げ飛ばす気配はない。
やはりこの子たちは普通の子とは違う。
めっちゃ育てやすい。
向こうの話では色々と大変な期間だからそういうのもあるのに、光たちはそういったのはない。
ありがたいのだが……それでも、何が起こるか分からないから色々と注意している。
「はい、デザートのケーキですよ!」
「「「!」」」
子ども用のケーキを並べると三人の目がキラキラと輝く。
三人はそれぞれすきなのをとって食べて居た。
「おいち!」
「おいちい!」
「おいち‼」
「それなら良かったわ」
「「「まま、だいすき! ありがちょー!」」」
その言葉に私は頬を緩めた。
『本当に幸せなのね?』
母の声が聞こえた。
うん、幸せだよ、お母さん。
だからね、安心して見ててね。
そう思い、幸せな光景に目を細めた──
梢は母に色々いっていたらと思ってもいますが、言っていたら多分今の梢はいなかったでしょう。
なので、ある意味梢の母にとっては辛い事実でしたが、梢にとってこれが正解だったのです。
じゃないと、アインもアルトリウスもティリオも皆死んでますしね(ぶっちゃける)
イザベラは奴隷の刻印をつけられた王女として色々あったことになるでしょうし(公にはならないけど)
犯人も分からないままだったかもしれないですしね。
なので、これで良かったんです、梢が自殺考えて、鞠子もといマリーが自分を連れて来た神々にお願いしたのが全ての始まりで、幸せの始まりでもあったのです。
子ども達は誕生日を満喫中。
ちっちゃい子は普通はイヤイヤとかなんだけど、梢の子は普通じゃないのでこんな感じです。
神々の愛し子ですからね、梢。それが影響してついでに精霊と妖精の愛し子でもあるんでそうなってます。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
反応、感想、誤字脱字報告等ありがとうございます。
次回も読んでくださるとうれしいです。




