46 ギャフンとはつまり、茶番。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
ドキドキの壮行会。
式典は、予定通りに行われていく。
ミレイアがキラキラした目で、1番前でステージにいる私を見ていた。
これから、私がギャフンされると思っているんだろう。
…まあ、カタチ的にはギャフンされるんだけど。
と、アルト殿下がステージにスタスタと上がってきた。
誰も止めない。
もう、この時点で不自然なのに、ミレイアは不思議に思っていないのが不思議だ。
「お待ちください、神官様!」
アルト殿下がそう言って式典を止める。
「我らが調べたところ、そこにいるヴェロニカ嬢が古代の聖女の生まれ変わりというのは、全くの誤解だということがわかったのです!」
そう言うと「おおっ」とわざとらしく声があがる。
どういうわけか、ほとんどの人がこの茶番劇のことを知っているようだ。
「本当の古代の聖女の生まれ変わりは、ミレイアさんでした!」
アルト殿下の紹介が、雑だ。
それでもミレイアはしずしずとステージに上がって一礼する。
そうして、ドヤ顔で私を見た。
私が何か言おうとして口を開くと、それをアルト殿下が遮る。
「では、そういうことで。ミレイアさん、いってらっしゃい!」
そう言うと、ミレイアが数人の神官に「どうぞどうぞ」と押されている。
「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!嘘ついたその…偽古代の聖女の生まれ変わりはどうするのよ!」
ミレイアがそう言って私を指差す。
人を指差しちゃいけませんって、教わらなかったんだろうか。
アルト殿下が私とミレイアの間に立ってくれた。
さすがに、アルト殿下を指差すのは悪いと思ったのか、ミレイアは指をおろす。
「そこ、気になっちゃいます?…まあ、偽…ではありますが、ヴェロニカ嬢は全属性の魔法を使える聖女であることには変わりありません」
アルト殿下がそう言って、私の手をとってくれる。
ミレイア退場のあと、どうするかは聞いていないから、目が泳ぐ。
何が始まるんだろうと不安で…アルト殿下を見た。
アルト殿下と目があう。
すごく優しい視線で安心した。
…うん、大丈夫なんだろう。
ゆっくりとうなずくと、アルト殿下がミレイアのほうを見る。
「ですから、ヴェロニカ嬢は我が国が責任を持って、大切に見守らせていただきます。…皇太子妃として」
そう言われて、ひゃーっとなった。
公開プロポーズ、キター!!!!!
ギャフンという言葉がミレイアから聞こえたような気もする。
頭がショートしてる。
「ア…アルト殿下、それって…あの…」
「アルって呼ぶ約束だよ?」
そんな約束はしてないけど…
そうだったような気になってくるから不思議だ。
「アル…あの、私…」
頭が真っ白になってしまった。




