45 アルト殿下とふたりで、接吻。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
「ねえ、ヴェロ。もう諦めないでよ。俺を、諦めないで」
アルト殿下にそう言われて、ドキっとした。
学園では、アルト殿下に好かれることを諦めた。
アルト殿下と再会したときは、王位についてほしくて諦めた。
古代の聖女の生まれ変わりと言われて、結婚をまた諦めた。
考えると、何度も何度も、アルト殿下を諦めようとしてる。
そんな私を追いかけてくれたのは、アルト殿下だ。
殿下が諦めずにいてくれたから、私はこうやってまたアルト殿下の隣にいる。
『俺を、諦めないで』
そう言われて、涙が溢れた。
「ごめんなさい…ずっと、ありがとう…」
親にも愛されなかった私を愛してくれる、ただ1人の人なのに。
私はこの人を、悲しませてばかりいる。
「いいよ。だから、アルって呼んで」
ん…?アルトじゃなくて、アルになった。
調子がいい。
こんな性格だっただろうか?
クスッと笑みがこぼれた。
「アル、大好き」
そう言って微笑むと、唇が重なった。
これは、挨拶的な?
そういうキスということだろうか?
いや、話の流れで、これは挨拶ではない。
アルト殿下の顔がはなれていく。
「…あ、目…つぶってない…くて、すみません…」
ぷしゅぅっと顔が熱くなっていく。
何を謝ったんだ、私。
クスッとアルト殿下が笑った。
「じゃあ、今度は、目をつぶってくれる?」
アルト殿下が私の髪をなでる。
また、キスするの?
心臓…心臓がもたない…心臓、頑張れ。
きゅっと目をつぶると、アルト殿下が小さく笑う声が聞こえて、唇から幸せに包まれた。
それと同時に、覚悟もできた。
何が起こるかわからないけど、アルト殿下の作戦に乗っかるしかない。
もう、この手を、唇を、はなしたくないから。
作戦の実行は2日後に行われる、壮行会。
それまで、ミレイアに祈りの島がどんなところかバレないようにすること。
そうして、私がチヤホヤされているように、ミレイアに見せつけることが最大のミッションとなった。
それほどチヤホヤされていたわけじゃないからどうなるか心配だったけど、ミレイアは私が少しでも崇められていると、すごい睨んできていたから大丈夫だろう。




