42 ミレイアの言い分に、唖然。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
「私は、アルトともラブラブでいたかったのよ!それなのに、あなたのせいで隣国の皇太子しか好感度が上がらなかったし」
ミレイアはまだ、学園時代のことを根に持っているようだ。
でも、私の知ったことではない。
「せっかく皇太子妃になったのに、あいつったら浮気性で…」
ん?なんの話だ?
ミレイアを見ると、ぶつぶつと文句を言っている。
「側妃、側妃、側妃って、何人側妃を作るつもりなのッて話で。やっぱり真面目なアルトのほうがいいなって思ったのよ」
隣国の皇太子はそんなに側妃を持っていたのか。
それは大変だったかもしれない。
…でもやっぱり、私の知ったことではない。
「だから言いくるめて、ルミナリス王国に戦争をしかけさせたのにっ!負けちゃうんだもん!」
ミレイアの言った言葉に、唖然とする。
「…戦争を、しかけさせた?」
私がそう聞き返すと、ミレイアは信じられないことに武勇伝でも話すように自慢げに話し始めた。
「そうよ。私がルミナリス王国の資源が豊富なこととか、財政が豊かなことをちょっと囁いただけで、色んな人が協力してくれたの!私はヒロインだから!」
そう言って、腕を広げる。
ヒロインだからって…なにが、ヒロインだから?
「え、待って。戦争をしかけたのは…アルト殿下を自分のものにしたかったからなの?」
理解が追いつかない。
「そうよ。セレネイド王国が勝っていれば、ルミナリス王国のものはぜ~んぶ、私のものでしょ。…負けちゃったけど」
そう言って、ドヤ顔で私を見る。
全然、ミレイアのことが理解できない。
言ってる内容も、ドヤ顔も、全然わからない。
「アルト殿下を自分のものにするためだけに、戦争したの?…え?バカなの?」
私がそう言うと、ミレイアが激昂した。
「はあ?!バカはあんたでしょ!アルトをものにするためだけに?そういうゲームじゃない!攻略対象を自分のものにするのが『アオチカアカヒミ』でしょ!」
『アオチカアカヒミ』とは、乙女ゲーム『蒼い誓いと紅い秘密、その扉の向こうで』のことだ。
そう、乙女、ゲームだ。
「何を…ゲームのストーリーは、学園の卒業式までだったじゃない。そこからは…ううん。学園にいる間も、私たちは現実に、この世界で生きてるのよ?」
学園を卒業して、もう何年も経ってる。
とっくに、ゲームの世界とははなれてしまった。
ストーリーも設定も、クエストもアイテムも、今はもう、何もない。
そんなこと、ミレイアだってわかっていたはずだ。




