40 めでたしめでたしの先は、暗闇。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
なぜか、お城に…王と王妃とアルト殿下と神殿の偉い人と、私が1卓に座っている。
「急ぎ、お時間を作っていただきまして、ありがとうございます」
神殿の偉い人が、王にそう挨拶をした。
「実はこちらの、聖女様ですが。どうやら異空間を行き来できる力もお持ちのようなのです」
そう言うと、その場にいる全員の視線が私に向いた。
異空間?
「…あの、光の扉のことですか?」
そう言うと、王様が「おお!」と声をあげた。
なに?なに?
「それは、古代の聖女が持っていたという力ではないか!」
王様がすごく大げさにそう言った。
演技力なら、私の方が上だなと思った。
アルト殿下が心配そうに私を見ている。
何が起こっているのか、さっぱりわからない。
「この力、我が国だけに使うのは…。他の国が聖女様のことを知れば、大変な騒ぎになるのは想像に難しくありません」
神殿の偉い人が、そう言った。
それはどういう意味だろう。
「そうだな…。異空間を行き来できる聖女が、我が国の皇太子妃になるとわかれば、他国が黙っていないだろうな」
王様がそう言った。
…それはどういう…意味だろう。
「では、言わなければいいではありませんか!」
アルト殿下がそう言うと「しかし」と神殿の偉い人が困った顔をした。
アルト殿下は、私が魔法でアルト殿下を治したことは言ったのに、光の扉については誰にも言っていなかった。
これが理由だったんだと理解した。
そうだよね。
どこにでも自由に行ける人なんて…迷惑だ。
味方であれば心強いけど、敵になったら脅威でしかない。
古代の聖女については、絵本で読んだことがある。
詳細は忘れてしまったけど。
最後は世界の果てで、この世が平和であることを祈りながら『幸せに暮したとさ』だった。
私も世界の果てに送られる、ということか。
ああ…人生って上手くいかない。
アルト殿下と結婚なんて無理って騒いでたのが、もうずっと前のことのようだ。
「…しかし、ご安心ください。聖女様には、一生、生活のご苦労はさせませんので」
私が現実逃避をしている間に、どうやら話はまとまったらしい。
「そうですか。それは…ありがとうございます」
生活の苦労もなく、幸せに暮したとさ。めでたし、めでたし。
私が求めていたストーリーではない。
でも、ここから逃げる方法を思いつかなかった。
アルト殿下の視線を感じる。
でももう、私はアルト殿下を見ることができなかった。




