39 魔法を学ぶのは大変で、苦労。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
「まあ!ヴェロニカ様はそんな魔法すら使えませんの?」
ミレイアが大きな声でそう指摘する。
神殿で本格的に魔法を学び始めているわけだけど。
もともとパンを焼くためくらいしか魔法なんて使ってこなかったから、コツがつかめない。
「こう…イメージをしていただいて」
神官は一生懸命教えてくれている。
ただ、この世界には魔法に関してはテキストがない。
人から人へ伝え教えるものとなっている。
それに魔法を使える力を持っていても、使わずに生きていく人も多い。
例えば、雷魔法はその名の通り雷を落とせるのだけど。
騎士や警官など、戦う必要がある職種につけば使いどころもあるけど、普通の人には必要がない。
他の魔法に関しても、生活で使う程度の魔法は使っても、大きな魔法を使うことなどほとんどない。
だから、多くの人は自分の属性は知っていても、魔法を使わず生活している。
乙女ゲームをしているときも、クエストで使うくらいで普段の生活では使っていなかった。
考えてみると、魔法がある世界なのに魔法の授業もなかったし。
で、今、とても困っている。
「あ!たしかヴェロニカ嬢はアルト・アズリオン殿下を治療されたとか。そのときのことをイメージしてください!」
神官にそう言われて、ぎょっとした。
まてまて。
私が治したことになってるの?
「え?…いえ、あれは…」
あれは、なんだろう?
気づいたら治ってました、って言っていいのか?
ミレイアがつまらなそうに私を見る。
自分がちやほやされないのが気に入らないんだろう。
「そーんなスゴイ力があるなら、とっとと見せてくださいよー」
すごく興味がなさそうにそう言われた。
見せられるものなら、そうしたい。
「いえ…あのときはその。光の扉が現れて…」
「光の扉?!」
神官が私の言葉に驚いている。
私、何か言っちゃったかしら?
「その、光の扉というのはどういうものですか?」
よくわからないけど、神官が興奮している。
「え?…普通の…ああいう感じの扉が光ってて、開けても光ってました」
説明が下手なのは承知している。
それでと言われたので、入ってみたらアルト殿下の部屋に繋がっていたと伝えた。
「つまり、ヴェロニカ嬢の部屋に光の扉が現れて、それを使って、アルト殿下の部屋に行けたんですね!」
そう言われて、簡単にまとめるとそうかなと、頷いた。
神官が走ってどこかに行ってしまった。
なに?なに?
ミレイアが、すごい顔で私を睨んでいる。
…なんだというんだ。




