33 聖女となることはいいとして、悩悩。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
「シエルのことは気にしなくていいよ。…ヴェロには申し訳ないけど、そもそもシエルの恋愛対象ではなかったみたいだしね」
そうハッキリ言われると、ちょっと悲しい。
まあ、10歳年上だもんね。
私も弟としか見られなかったし。
ルージュリス家は、アルト殿下の暗殺未遂で没落した。
私が捨てられなかった手紙と、その手紙を持ってきた侍女の証言が決め手となったらしい。
父と母は処刑されるそうだ。
アルト殿下はルージュリス家と私の縁を切らせようと動いてくれていたようだ。
ある程度、ルージュリス家を追い込む証拠は掴んでいたけど、私も処刑される恐れがあったから今まで手が出せなかったと話してくれた。
その私は、チート能力のおかげで聖女認定となり、処刑を逃れることができてしまった。
その上、アルト殿下の婚約者に返り咲く…
世間では、新たな聖女誕生という声と、生家を裏切った悪女という声で割れている。
アルト殿下は悪い噂が入ってこないように気を遣ってくれているけれど、人の口に戸は立てられない。
「あの…アルト・アズリオン殿下」
私がそう呼ぶと「アルトって呼ぶ約束だろ?」と言われる。
あれは、夢だと思ったからなんだけど…
「あの…やっぱり、この結婚は無理があるというか。聖女になるのはいいとしても、その…元婚約者が、側妃を経て婚約者になるのもアレですし…その…ルージュリス家のこともありますし…」
王族の中にも、私とアルト殿下の結婚に反対している人が多いことは知ってる。
わざわざ敵を作ってまで結婚する必要って、あるんだろうか?
「ずっとヴェロと結婚したくて頑張ってきたの、俺。そろそろ俺の頑張り、報われてもいいと思うんだ」
そう言われて、ドキっとする。
アルト殿下が頑張ってくれていたのは話を聞いてわかったけど。
「それに、この間、熱烈に告白してくれたじゃないか。えっと…『アルトは真面目で誠実なところが素敵』」
アルト殿下がそう言って、夢の中だと思って私が言ったことを口に出して言う。
「ひぃよぉぉっ…わかったっ!わかったからっ、それ以上は、ご勘弁くださぃぃ…」
本人に、いかに本人が好きなのかを熱弁したあの日の私。
消えて…
そう願ったけど消えないから観念することにした。
「言っておくけど、聞いてる俺も恥ずかしかったんだから、ね」
アルト殿下がそう言って、私の頬にキスをした。
そういうところだっ!そういうところが…かっこいいんだ、ばかっ!
ダメだ。
破滅は回避できたのに、結婚は回避できません。




