32 アルト殿下の企みと、能力。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
「俺が治ったの、奇跡みたいなんだ」
アルト殿下がそう言ってへらっと笑った。
最推しのへら笑いは可愛い。
「でも、俺はヴェロの魔法なんじゃないかと思ってるんだ。目が覚める前に、確かに俺はヴェロの声を聞いたから」
そう言われて、首を傾げる。
「私の声が聞こえたのと、魔法と、どんな関係があるんですか?」
そもそも私が使えるのは、炎魔法だ。
「きのう、話してくれただろう。ヴェロは異世界から来たって。それは、ミレイア嬢と同じということだよね?だったら、ヴェロも光魔法が使えるんじゃないかな?」
アルト殿下がそう言った。
「それは…ないと思いますけど」
魔法の属性は、1人につき1つだ。
私はすでに炎魔法が使えるから、光魔法が使えるはずがない。
「一応、検査だけでもしてみて」
そう言われて、神殿に連れてこられた。
アルト殿下と、なぜか王族の方々もいらっしゃっている。
見世物状態だ。
重々しく水晶が7個運ばれてきた。
この水晶はそれぞれ、光・闇・水・炎・風・雷・土の属性がある。
手をかざすと、自分の持っている属性の水晶が光るという代物だ。
6歳になると、自分の属性を確認するために検査を行う。
私は5歳のときに炎魔法が使えるようになったから、この検査をするのは初めてである。
「では、手をおかざしください」
そう言われて、手をかざしてみた。
ぽわっと…全ての水晶が光る。
「ん…?」
神官が驚いて、水晶を見ている。
「あ…いや、少しお待ちを」
そう言って、別の水晶が運ばれてきた。
同じように手をかざし、同じように全ての水晶が光った。
神官と私で、目を合わせる。
「…1個ずつ触れてみてもいいですか?」
私がそう言うと「そうですね、そうしましょう」と神官に言ってもらえた。
何度やっても、結果は同じだった。
私はどうやら、全部の属性を持っていたようだ。
こんなチート能力があるなら、もっと早くに教えていただきたかった。
そうしたら、植物も簡単に育てられたのに…
すると、アルト殿下が王族たちの前で語りだした。
「いかがでしょうか?これは、神が与えた奇跡。いわば彼女は女神。そんな女性は、第一王位継承者の私の伴侶にふさわしいと思うのです」
そう言われて、アルト殿下がわざわざ神殿に王族たちを引き連れてきたわけを理解した。
私を、聖女にでもするつもりなのだろう。
アルト殿下ってこんあに腹黒い設定だったかしら?




