31 アルト殿下が目覚めて、冷汗。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
眩しい…私の部屋は北側で、こんなに光が入ってくることはないはず。
廊下で寝ちゃったかな?
体を動かすと、ふかふかだ。
なんて寝心地のいいベッドなんだろう。
…寝心地のいい、ベッド?
目を開ける。
ベッドの上にいる。
眩しい。
…ここは、どこ?
恐る恐る、首を横に向けた。
「…っ゛?!!?!!!?」
アルト殿下?
「おはよう、ヴィロ。よく眠れた?」
そう言われて、まだ私は夢の中にいるようだと感じた。
もう一度、目を閉じる。
夢の中で眠ると、夢がさめる…はず。
じっとして、眠るのを待つ。
いやいやいや。
じゃあ、さっきまで私、何してたのさ。
寝てたよね、うん。
目を開けて、ベッドから出て、土下座。
「あ、アルト・アズリオン殿下の…ベッドに入ってしまい…誠に申し訳ありませんっ!」
土下座する私をアルト殿下が見て「ここに座って」とポンポンと自分の隣を叩いた。
何かのデジャヴ。
「き、きのうの夜のは、ゆ、夢じゃ…ない?」
血の気が引いていく。
血以外のものも引いている気がする。
「うん。夢じゃない。ヴェロが言ってくれたじゃないか、結婚しようって」
アルト殿下がいい感じにセリフを切り取った。
「いやっ、それは夢だと思って…ええっ゛?!」
驚いているうちに、ベッドに引き戻された。
どういう状況?どういう…
「抱き枕っていいね。こうすると、よく眠れる」
アルト殿下がそう言って私を抱きしめた。
トントントンと扉がノックされる音がする。
まずい、まずいっ!誰かくるっ!!
慌てて布団の中に隠れようとしたところを、侍従に目撃されてしまった。
沈黙。
「おはよう。…見られちゃったね」
アルト殿下がそう言って、私の頬にキスをした。
頬へのキスは挨拶でもするけど、するけど…
「っ゛!!!!!」
顔を真っ赤にしていると、侍従が「アルト殿下が目を覚まされました!」と誰かに報告しながら走っていった。
待って!まだ、人を呼ばないで!
そう思っていたのに、あっという間に人が集まってしまった。
ベッドから出るに出られなくなってしまって、アルト殿下が呼んでくれた侍女が用意してくれたドレスに着替え、部屋の隅に立っているしかなかった。
シエル殿下がきて、皇后様がいらして、王妃様も王様もいらして…すごく気まずい。
どのタイミングで帰ればいいのかわからなくて、変な汗をかきながら部屋の隅で気配を消すことに集中した。
皆さんが帰られて、ようやく失礼することにする。
「ヴェロ、待って。俺が起きたら、なんでもしてくれるんだろ?」
そう言って、手を掴まれる。
「そ、それは…夢だと思っていたからで」
「ルージュリス家のことは大丈夫だから。あと、シエルのことも」
アルト殿下がそう言った。
何がどう、大丈夫だというんだろう。
「色々と大丈夫だから…1つ、検査を受けてみてくれない?」
アルト殿下にそう言われて、きょとんとした。




