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破滅エンドが確定しました。悪役令嬢ですが知ったこっちゃない、逃げる。  作者: 西園寺百合子


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03 お腹が空いたので、働く。

『蒼い誓いと紅い秘密、その扉の向こうで』

ヒロイン ミレイア・ノクス     光魔法

皇太子  アルト・アズリオン    水魔法

悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法

家はなんとか買えた。

どの世界でも、郊外というのは土地がお値打ちだ。

贅沢を言わなければ家を持てる。


キッチンとお風呂にトイレ、部屋は2つ。

異世界に来る前に住んでいた部屋より狭いけど。

うん、十分、十分。

なにより、キッチンが広めなのがいい。


キッチンを見ていて思い出した。

私、ほとんど食べていない。

働かざる者食うべからずだ。

町…というか、村に職を探しに行った。

だけど、サビれまくっている郊外に正社員で雇ってくれる会社はなかった。

そもそも私、学園も卒業していないから、学歴もない…ことになってる。


道を歩いていると、いいニオイがした。

食事処だ。

そこで思いついた。

食事処で働けば、まかないがついてくるじゃん。

お金も稼げて、一石二鳥。


というわけで、頼みこんでバイトとして雇ってもらえることになった。

週6日、昼と夜のまかない付き。

最高の待遇だ。

帰りに小麦粉と卵、バターを買って帰った。

昼と夜はまかないがあるけど、朝はなんとかしなければいけない。

無駄遣いもできないから、パンを作ることにした。


『蒼い誓いと紅い秘密、その扉の向こうで』の世界ではパンがない。

小麦粉で作った、ナンのようなものはあるけれど、まだパンは販売されていなかった。

ナンも嫌いじゃないけど、ナンはナンだけで食べるのも飽きがきてしまう。

パンは材料がほとんど同じで、作れるし、食パンにしたりクロワッサンにしたりと色々アレンジできていい。


実は、異世界転生する前、パン作りは私の趣味の1つだった。

ただ困ったことに、パンがないこの世界には、オーブンもなかった。

そこで、石窯を作ってみた。

私って天才。

炎魔法が使える私は、石窯の炎を操るのも容易かった。

もう一度言う。

私って、天才。


パンを作って朝食べて、昼と夜はまかないで生活する。

お休みの日は3食パンというのがちょっとツライけど、安定して稼げるようになるまでは仕方がない。

お休みの日は、庭に野菜を植えてみた。

庭と言っても、猫の額ほどの小さい庭だ。

でも、私が食べる分くらいの野菜を育てるなら丁度いいだろう。

トマトとキュウリ。

これがあれば、サンドウィッチができる。


ワクワクしながら野菜を育て、食事処で働き、パンを作った。

毎日が忙しい。

生きることでいっぱいいっぱいなのは、ありがたかった。

乙女ゲームのことも、断罪のことも、全部忘れることができたから。


ゲームが終わっても、私はこの世界で生きていかなくてはいけないんだもん。

頑張る。

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