19 ミッションコンプリートで、安心。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
婚約者 リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
ここで少し、整理をすると。
アルト殿下とシエル殿下の父は、現在の王である。
アルト殿下の母は正妃、シエル殿下の母は側妃だ。
ただ、シエル殿下の母のほうがかなりお若い。
そのため、王様は側妃を溺愛されているという噂。
本当かどうかは、知ったことではないけどね。
「…シエルには、俺から言っておくよ」
アルト殿下は少し考えて、そう言ってくれた。
私の中で、ミッションコンプリートである。
「ありがとうございます!…それでは」
そう言って帰ろうとして「今日は本を読んでいかないの?」と呼び止められた。
うっかり、ミッションコンプリートで満足してしまった。
どうしようかなと悩んで、1度、小説を手に取る。
パラパラとページをめくって、残りのページを確認した。
これを読んだら、ここにくる意味がなくなるんだな…
「もう少し…いえ。今日は、失礼させていただきます」
まだ、自分でこの時間を終わらせる覚悟ができなくて、本を棚に戻した。
いつか、ちゃんとこの気持ちにケリをつけるから。
もう少しだけ時間をください。
誰にお願いしているのかはわからないけど、心の中でそう思った。
翌日、カサンドラ先生が目を輝かせながら私とリリアーヌ嬢に、シエル殿下からお茶のお誘いをいただいたと伝えてくれた。
アルト殿下が、すぐに動いてくれたのだろう。
今度…いつか会えたときにお礼を言わなくてはいけない。
「私だけではなく、ヴェロニカ嬢もですか?」
リリアーヌ嬢は、露骨におもしろくないという顔をした。
「まあ、シエル殿下はお優しいのですね。シエル殿下に気に入られるように、少し体型を絞らないといけませんわ~」
そう言って、ウエストのあたりを意識しているようなしぐさをする。
リリアーヌ嬢がそれを見ているのを感じる。
リリアーヌ嬢にやる気を出させるため、私はあれやこれやと演技をしてきた。
もしもこれから7年、これを続けたら、私は立派な女優になれると思う。
「まあ!さすがヴェロニカさんは、男心がわかっていらっしゃるのねー」
棒読み。
カサンドラ先生は、まだ恥ずかしさが拭いきれていない。
早く吹っ切ってくれないと、1人で熱演していてバカみたいになる。
「カサンドラ先生、私は明日から2時間、庭を歩くことにいたしますわ!」
私がそう言うと、カサンドラ先生が「それはいいですね」と言った。
「まあ、私なんて、3時間は歩きますわっ!」
リリアーヌ嬢が、ようやく乗ってくれた。
「あら、リリアーヌ嬢は、そのままでもふっくらされていて可愛いのですから。運動なんてしなくてよろしいのではないかしら」
ふっくらという部分を強調して伝えると、リリアーヌ嬢は顔を真っ赤にして怒っていた。
こうして、リリアーヌ嬢に運動させるというミッションもクリアできたようだ。




