12 王妃教育再びで、驚き。
悪役令嬢 ヴェロニカ・ルージュリス 炎魔法
皇太子 アルト・アズリオン 水魔法
皇太子弟 シエル・アズリオン 風魔法
リリアーヌ・マーロウ 雷魔法
ヒロイン ミレイア・ノクス 光魔法
先生 カサンドラ
「こちらが、側妃…いえ、ヴェロニカ様のお部屋でございます」
侍女がドアを開けて、うやうやしく頭を下げた。
王族の部屋としては広くない。
むしろ、狭い。
でも、私にはちょうどいい。
異世界転生するまでは2DKのマンション暮らしだったんだもん。
結局、シエル殿下の側妃になる話は断れなかった。
救いだったのは、側妃になるのはシエル殿下が結婚した後だということ。
シエル殿下が結婚するのは、おそらく16歳。
あと、7年は側妃(仮)というわけだ。
その間に、王妃教育をやり直すことになった。
その話を聞いて、少し疑問に感じる。
もちろん、アルト殿下とシエル殿下の周りの貴族たちの考え方は違うから、一部は覚え直さなければいけないものもあるあろうが。
イチからやり直してもらえるらしい。
不思議に感じながら、王妃教育が行われる部屋に行った。
トントントン、とノックをすると「入ってもよろしいですわよ」と可愛い声がした。
ずいぶんと若い先生のようだ。
「失礼いたします。本日から授業を受けます、ヴェロニカ・ルージュリスでございます」
そう挨拶した先には、可愛い女の子が座っていた。
まさか、こんなに若く見える先生がいるなんて。
しばらく2人で見つめ合っていると、トントントン、とノックが聞こえる。
ドアを振り返ると、すらりとした女性がドアを開けて入ってきた。
「え…?あ…えっと…」
私が戸惑っていると、座っていた女の子が椅子から立ち上がった。
「本日から授業を受けます、リリアーヌ・マーロウでございます」
そう言って挨拶をしている。
「はい、リリアーヌさん。上手に挨拶ができましたね。…それにひきかえ」
そう言って、すらりとした女性が私を足下から頭に向かって舐めるように見る。
「あ…失礼しました。本日から授業を受けます、ヴェロニカ・ルージュリスでございます」
どうやら、この人が先生のようだ。
ちなみに、この国では挨拶の順番に暗黙のルールがある。
決まっているわけではないけれど、王族をのぞいて階級が高いものから挨拶をする。
パーティーやお茶会に呼ばれたとき、主催者への挨拶は階級が高いものからしていくのだ。
その暗黙のルールから、先生への挨拶もまた階級が高いものからしていくものとされている。
そうして、基本的に王族は挨拶をすることはない。
なぜなら、王族のことを知らない人などいないからだ。
じゃあこの、リリアーヌと呼ばれた女の子は、誰?
「今日は、お互いの自己紹介が必要なようね」
すらりとした女性は私の反応を見て察してくれた。
「私は、カサンドラです。王妃教育を担当する講師です。カサンドラ先生と呼んでくださいね」
カサンドラと名乗った女性は、主にリリアーヌにそう言った。
「カサンドラ先生。私は、リリアーヌ・マーロウです。シエル殿下の婚約者ですわ」
可愛い女の子が、そう言って胸を張った。
この子がシエル殿下の婚約者だったんだ。
…え?正妃と側妃が、一緒に妃教育を受けるの?




