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第88話 決着

運んだ海賊船の船内に数人がいたが無抵抗だったらしい。


残っていた人たちは海賊ではなく、アルム王国の職人たちであの島に連れて行かれる途中、クラーケンに遭遇し、海賊がクラーケンから逃げようとしたのを、後続の船は逃亡と勘違いして追いかけて戦闘になったとのことだった。


しかも連行理由は税金が払えなかったため、国が指定する物を作る・・・・おそらく武器関係ではないかとのことだった。



これからの方針としては、警戒される前に海賊の拠点を潰すで一致している。


そしてアルム国の人たちはこの島に置いていく。


戦闘になると彼らにも危険があるし、万が一にも彼らが我々を襲う可能性もないとはいえないからだ。


壊れた船と彼らだけだ。


逃げたいのなら逃げてもいいということになったのだ。


我々も大人数ではないし、最優先は国からの命令である海賊の拠点を潰すことだから。




翌日、海賊の拠点に向かって出航する。


残るアルム国の人たちには2日前後で戻ること、食料は多めにおいていくこと。


我々が戻った後は、アレクシオ王国かナビア王国に行くことになること。


そして彼らが協力的であれば、囚人扱いにはならないことを保証すると説明した。


彼らが逃げるか待っているかは不明だが、今現在で出来ることはした。



私は海に潜って先に偵察に出る。


海賊の拠点の島の周りを泳ぐが、船が停泊してはいなかった。


島全体が見えるところまで離れて海上に顔を出すと、やはり2か所から白い煙が出ていた。


応援が現れる前に片をつけなければならない。


セドたちの船が到着し、半分の人数が島に上陸した。


海賊たちは少なかったらしく、あっさりとケリがついて、今は拠点を壊していると報告がきたのでほっとした。




「大変です」


フェリクスが慌てて私のところへ走ってやってきた。


「この島に向かって5隻の船が向かってきているそうです」


私が足止めするにしても多すぎる。



「商船ではないのか?」


「はい、甲板にいる者の服装からして海賊か傭兵だと」


「リカード隊長やセドたちに至急船に戻るように、いつでも戦闘できる状態でいてくれ!」


「ダニエル様!」


「少しでも長く足止めしてくる」



私は海に飛び込んだ。


しかしどうやって足止めをするか、私に気づいて海賊たちが海に飛び込んできて応戦している間に他の船が島に上陸すると、我々は半分に分かれている状態だから不利だ。


あっ、あれを使ってみるか。


私はマジックバッグから物を取り出し、取り出した物の足の中に隠れた状態で海賊船に向かって行き、海上に少しだけ物体を押し上げ船に体当たりをした。



「クラーケンだー。出没しているという話は本当だったんだぁー」


こちらに向かって矢が飛んできたが、クラーケンごと海の中に潜る。


そして他の船にもクラーケンで体当たりをしていった。



とにかく体当たりをたくさんして船を壊していった。


数隻が傾き始めたため私は離れる。


クラーケンの足の中から出て確認すると、海賊の一部が海に落ちているようだった。


このままだと島に泳いでたどり着く者もいるかもしれない。



私はクラーケンの1本の足先を持ち、クラーケンを振り回しながらまた船に近づいていく。


クラーケンを振り回したため、荒い波で傾いていない海賊船が大揺れしていた。


だから私はクラーケンを振り回し続けながら近づき、傾いていない船にクラーケンの胴体をぶつけた。


海賊船は大破したが、クラーケンもぶちちぎれてバラバラと海底に落ちていき、私が手に持っていた足だけが手元に残った。




フェリクスがいる場所へ戻ると、リカード隊長たちも戻ってきていた。


「お見事としか言えませんね。5隻をどうやって大破させたのですか?」


グレン会長が私に聞いてきた。


一度は全員が揃った時点で船を出航させようとしていたらしい。


ただ船が1隻、1隻と沈んでいったため、逆に私の邪魔になると思い様子を見ていたとのことだった。




「クラーケンを使ったのですか?!」


私の話を聞いたフェリクスが驚きの声をあげた。


「ダルのことを向こうは警戒しているから、クラーケンだと思わせることで向こうを焦らせたわけだ」


セドは私がしたかったことを理解したようだった。



「これはダニエル様にしかできない作戦ですね」


グレン会長に感心したような声で言われると照れてしまう。


ナビア王国の王族に近い人物だし、元騎士でもあるからね。


「ありがとうございます。今後の予定はどうなりますか?」



リカード隊長たちはまた上陸して、施設を完全に破壊したいそうだ。


私は施設内の持ち帰られる物をマジックバッグにしまう手伝いをするため、今度は一緒に島に降りた。


すべての作業が終わり、島で捕まえた人たちと、無人島に残していたアムル国の人たちを回収して、私たちはナビア王国に向かった。


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