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わっちの彼ピは、最強ヴィラン  作者: 弥馬田 ぎゃん


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わっちは、お買い物中

わっちは、えびすヒロ子。職業は、お笑い芸人。と言いたいところやけど、ここ何年かは、芸人としての活動が一切、できていない。

表向きの理由は、総理大臣の妻が芸能活動なんてしていたら、警備が大変やから。

本当の理由は、大量虐殺を平然とやった奴の妻なんかが、お笑いなんかやっても、誰も笑わんから。

あの男の妻なんかになったばっかりに、わっちの生活は、ずいぶんと窮屈になった。と思いながら、わっちは、きゅうりを選んどる。

スーパーでの買い物。今のわっちに許されとる自由は、それぐらいやった。

なんか、最近、わっちの知らん間に天条んとこに暗殺犯が来たようで、外出できる理由として、毎日の食事の買い物以外は、許してもらえんようになった。

わっちは、元々、料理は、食べる専門で、料理を作るなんて、論外で好きやなかったけど、他に外出できる理由がないから、毎日、作らなしゃあない。

天条は、毎日、わっちの作る料理を美味いとも不味いとも言わず、「普通」と言って、食うとる。ほんとにわっちの事が好きなんやろか?

わっちは、トマトの山の中から、一番、値段の高いものを選んで、手に取る。元々、目利きなんて、できんから、いっちゃん、高いやつが、いっちゃん、ええやつやろ。という我ながらな発想。

でも、食材選びには、ことさらに時間をかけた。料理の為やない。お笑いのネタ作りの為や。今、考えてるのは、看護婦長未亡人という男ウケしそうなタイトルのネタ。

自分でネタを披露でけんようになったんやったら、誰か売れん後輩芸人を捕まえて、わっちの替わりにネタをやってもらおという算段。

お笑い芸人やなく、お笑い作家やったら、まだ、できるんちゃうかと、わっちは、目論んでた。かすかな希望じゃ。

わっちが、トマトの山から離れようとした時、すぐ隣に女子高生が制服姿で立っていた。

なんでやろ?いつもやったら、警備が、わっちの近くには、誰も通さんのに。

すぐ隣の女子高生と目を合わせ、わっちは、声を上げる。

「明日香!」

そこにいたのは、わっちが、まだ芸人をやってる頃に、「えびす娘」というバラエティ番組を一緒にやっていたアイドルの今日本明日香やった。もう、女子高生という歳ではなく、何故、そんな恰好をしてるかは、謎やったが、わっちは、ひさしぶりの再会に声を上げて、喜んだ。

「こんなところで、何してるん?」

「えびすヒロ子さん。騒がずに聞いてください。私は、今日本明日香の姿をしていますが、今日本明日香ではありません」

その男のような口調で、わっちは、目の前の人物が今日本明日香とは、別人じゃと、わかった。顔が一緒でも、表情、顔つきが全然、違う。

「お前、誰じゃ。不気味やのう」

わっちは、騙し討ちをくらった気分になり、一気に不機嫌になる。

「私は、あなたに近づく為、今日本明日香さんの肉体を借りている者で、目的達成後は、彼女に肉体を返すつもりです。いいですか?えびすヒロ子さん、あなたには、天条を倒すべく、我々の人質になって頂きたいのです。我々の目的は、あくまで、天条抹殺であり、あなたに危害を加えるつもりはないので、できれば、なんの抵抗もせず、我々におとなしく捕まって、ほしいのです」

わっちは、

「えーよ」

と答えた。

「え?」と目の前の今日本明日香の姿をした奴は、驚きよった。

「あいつは、いつかは、誰かが倒さないけん奴じゃと、わっちも思うとった。あいつのせいで、わっちも人生、潰された被害者じゃ」

わっちは、深く息を吸い込んで、

「わっちの彼ピを殺してくれ」

と目の前の人物に頼んだ。

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