中洲
都心から50km離れたこの街は近くに1級河川が流れている。大きな川なので川の中ほどに中洲があるが、結構ゴミが引っ掛かって雑然としてる。
どこからも遠いのだが早朝ジョギングの人がマネキンのようなものがあると通報した。
念ため調べると本当に衣服をほとんど剥ぎ取られた女性だった。前日町中でえらくケンカしていたと言う付き合っている男性が任意同行されたが、念の為その男と会う約束をした桜子の所にも警察が調べに来た。
「私、全然関係ないですよ〜彼女が居たことも知らなかったし〜」桜子が爪磨きながら倉庫に来た刑事達に話す。
「先週、居酒屋で飲んでたらあっちから今度奢るよって誘われたから昨日約束してただけで。
このデータセンター横の物流センターの人だって以外知りませんよ〜名前すら。」とさすがに酒は抜けたので普通に話してる。
「ハア、うちはこんな事でしか問い合わせない部署なんだよなあ〜」とハゲ頭の部長が悲しげにメダカの水槽にエサをやる。
会社辞めた人の置き土産らしい。処分に困ると皆この総務管理部もとい倉庫に置いていく。
「彼、筋肉質でイケメンじゃん。結構、職場で人気みたいだよ。アンタも狙ってなかった?」刑事が不躾に聞く。
「いや〜桜ちゃんも我が社のラブハンターとして有名でして、男1人にそんなに手間暇かけてられないですよ。モールであのヒステリー女に窃盗の濡れ衣掛けられただけでも迷惑なのに〜」仕事の話はしないが、無駄話は長い霧子が刑事に昨夜のいきさつを話す。
「ふむ、それはウチのもんも話してたよ。痴話喧嘩始めたからモールから追い出したと。」刑事がメモ取りながら霧子の名も控えてる。
「アナタも同席してたんだね。その後桜子さんは、帰ったの?」刑事が聞く。
「はい、駅で同じ電車乗って〜彼女は一駅先なので私だけ降りました。」霧子が話す。
「そうかあ〜帰宅したかは分からないんだね。」刑事が眉間にシワを寄せる。「エ〜ッ、スゴい酔っ払ってたから帰れただけでもエライですよ〜」と霧子が説明するが本人はサッパリ忘れたみたいで、へ〜っと聞いている。
「まあ、これだけ美人さんなんで、男なんて吐いて捨てるほどモテそうですよね?」若い刑事がニヤニヤしながら話す。桜子がすでに足を組み替えてサインを送っていた。
「刑事さん、家近かったら今夜飲みません?同伴OKの相席居酒屋あるんですよ?」と言う。公務員なのでおごらせる気満々だ。
「ダメですよ!この子、ウワバミだから酒だけで万飛ばしてる男が社内にも山ほど居るんです!」霧子が注意する。
「先輩!邪魔しないで!相席がマッカラン置いてくれたのよ!私の為に!払える人連れていきたいの!」と桜子が舌打ちする。
「う〜ん、これは本当に関係ないかもなあ〜」とベテラン刑事がメモに斜線を引いて閉じてしまった。
「まあ、殺された女の子、傷害で1度訴えられてるからな。彼氏の元カノに洗剤飲ませたとか?危ない子だったらしいよ。他の被害者を当たろう。」と刑事達は帰っていった。
芸能界からスカウトされた友達が…すごいラブハンターだったので、ほんと話して5秒で男が誘ってくる…スゴ技だった!




