昂輝
「おい!いい加減なこと言うなよ!
腕に掛けてたカバンを取られたら、トレーの飯運べる訳無いだろ?
だいたい、防犯カメラ映ってるのにウソ付いてどうすんだよ?おばさん?」若い男の子の声が響く。
霧子が振り返ると後の席に昂輝が仲間と座ってた。
仲間の男の子達が柱上の防犯カメラを指さす。
「お、おばさん?私が?」女は状況より自分がおばさんと呼ばれたのがショックだったようだ。
「すみません。コイツ虚言癖あるんすよ。
オイッ!ヤメロよ!恥ずかしいよ、ホントに。」
後ろの方から男が嫌そうに現れた。
「あれ〜?今日ダメになったって?」トロンとした目で桜子が男に声を掛けた。
「悪い…彼女いないとかウソ言った。コイツにバレてさあ〜」男が女の手を掴んでこの場から去ろうとすると女が手をほどく。
「いつもいつもウソついて私をだましてるのはお前だろが!クソクソッ!死ねよ!」と男の顔面に爪を立てた。
「もう!こんな場所で痴話喧嘩やめなさい!
2人共、人に迷惑かけるウソを付くんじゃない!」と警官と警備員が2人の襟首つかんでフードコートから追い出した。
こちらに会釈して外につまみ出した2人に説教しながら住所氏名を聞いていた。
「昂輝、なんでココに居るの?」霧子は振り返り聞く。
「それはコッチだろ!なんだ、その食事は?
せっかく少し痩せたのに!また、太るだろ?」昂輝は霧子のテーブルのご飯類に怒る。
「エ〜ッ、だって昂輝いないんだもん。好き勝手に食べるチャンスじゃん♪」他の育ち盛りの子達はキラキラした目で霧子のテーブルを見てる。
まだ頼んだメニューが出来てないのかテーブルの上は空っぽだ。
霧子は桜子が飲んでばかりで全然食べないので小皿に焼き鳥チャーハン唐揚げポテトセットを積上げて、少年達のテーブルにお裾分けした。
「みんな食べたら、こいつみたいにブタになるぞ!」と昂輝が必死で制止するが皆聞いちゃいなかった。
「フッフッフッ、ガリガリの皆!どか食いして気絶部やろうぜぇ〜」と霧子が笑う。
「クソッ、おちおち合宿もやってられない!
そんな食い方してたら、絶対死ぬぞ!」昂輝は頭を抱える。
合宿所が築40年とかで水回りがほぼ死んでたらしい。
明日からは顧問が掛け合ってくれたので高校のトイレ洗面所や家庭科室を使って生活するらしい。
霧子は昂輝が楽しそうに学生生活満喫してくれてる姿にホッとしながらも一抹の寂しさを感じた。
姉とケンカしないで昂輝がもっと小さい内から関わっておけば良かった…子供が大きくなるのなんかアッと言う間だなあ〜と。
「先輩〜寂しんでしょ?もう、結婚しなくても子供産んじゃえば?」と桜子がからかう。
「そんな!犬猫じゃないんだから、責任があるんだよ。自分の私利私欲で産んだり出来ないよ!」霧子が怒る。
「エ〜ッ、人間そんなに考えて子供作って無いですよ〜私利私欲なきゃ産みませんて!
先輩、真面目すぎ〜」と桜子がヘラヘラと笑う。




