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探偵少年  作者: たま


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29/32

推理

「なぜ別宅があると思うの?」刑事の猫又さんが昂輝に聞く。

自衛隊にと協力を頼み見つけたアジトにおじいさんと霧子の姿は無かった。すでに他の警官も待ち伏せ待機していたが、姿を現していなかった。

「自衛隊の野外訓練がどういうものか分かりませんが、多分敵と戦いながら森に逃げ込んだ設定なのだとしたら…アジトは1つではマズイでしょ?」昂輝が説明する。

「見つかりやすいアジトと他に別宅も設けておきます。登ってくる道も別ルートの…多分川沿いじゃないのです。」警官達が困惑する。

「遺体は全て川で見つかってる。つまりアジトは川沿いにあると言う事じゃないのかな?」刑事猫又が納得出来ていない。

「そう、探す時に川沿い狙われるのは分かってますからね。それと、山でずっと生活してる人なら川から離れた風下に…針葉樹のない辺りに別宅が要るんですよ。」昂輝の説明の意味が皆に分からない。

「ゲリラ豪雨や台風ですよ。」昂輝が説明する。

「あっ、川沿いは確かに危ないか!」猫又も気付いたようだ。

「ええ、この山で1番強風の影響を受けないのは、この周辺ですが、上に昔の植林の杉林がある。

あれが危ないんですよ。間引きもされず放置されてますからね。

自然の広葉樹が、川から少し離れますが生えてるあっちの辺りを探しましょう。」と警察のサーチライトでブナ、ナラなどが自生してる辺りを照らす。

「風の影響を受けずに土砂崩れに強い木たちに囲まれて、このアジトの風下になるので臭いが流れてこない。僕なら雨が続く時にあちらへ移動する別宅を作りますよ。」と言いながら先頭を切って進んでいく。

犬の鳴き声も悲鳴も、聞こえない。まだ殺されてないと思いたい。

昂輝は必死なのだ。

自分は手柄を焦ってる。勝ちたいのだ、父に。

編集者なぞ表には出てこないだろうが、映画館でエンドロールに名前を見るだけで吐き気がするのだ。

父が虚構の世界で有名編集者になるなら、自分は本当の事件で名を知らしめる、世間に。

大学行くのも、その為なのだ。

初めは霧子も居るし危険に関わりたくなかった。

だが、だんだん事件が大事になり人々の関心が向くと

自分の中で抑えがたい欲望が芽を出した。

霧子を守る為にも犯人を見つけ出すんだと、勝手に自分に言い訳して。

なのに!

あんな接触の仕方をするなんて!

霧子を危険に晒すことになってしまった!

『霧子が死んだら、僕はもう生きていけない。生きてたくないよ!お願い!生きててくれ!』端からは冷静に見えてる昂輝の心の中は、今グチャグチャなのだ。

恋愛でもなく親子でもなく、赤の他人同士が繋がる話を書きたいんですよね〜

それこそ恋愛よりも親子よりも深く切実に。

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