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探偵少年コウキ  作者: たま


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25/30

憎しみ

いつの間にか昂輝は少年探偵になっていた。

多分、父親が探偵アニメの原作に関わる仕事をしている事が、姉譲りの完璧主義と万能タイプの能力をそっちへ発達させたのだろう。

根底にあるのは、憎しみだ。

姉と霧子の父が漫画本の収集家だったせいで幼い頃から漫画本に囲まれて育ったのが、姉を漫画家に育てたようなものだ。

昂輝は、父が編集する漫画アニメを見てきっと推理小説やそれに関する色んな本を読むようになったのだろう。携帯を連絡用に小学生の時から持たせたら、すぐにキンドルを読みたいとせがまれたのでアプリを入れたのだ。定額制なので無限に読んでいたのだろう。

学校の先生からも昂輝は図書室制覇したと思うと聞かされていた。

学校図書では足りない蔵書は県立図書館などへ出向いて借りて読んでいた。バスケも好きだが本も良く読んでいた。

いつの間にか、会えない父親、母親を死に追いやった父親への気持ちが知識欲と推理に全振りした探偵・昂輝を育ててしまったのだ。

霧子の食欲が減退した。

何だかショックで。

「どうした?お前が食事中手が止まるとかあり得ないのに。」昂輝が心配する。

「ううん、何でもない。食べたらもよおしたからトイレ行ってくる。」と席を立った。

「もう、サイテーだな。」と後から言われながらトイレへ向かう。


まさか食べる気が失せるとは思わなかった。

真っ黒な瘴気みたいな子だったが、今は明るく普通の高校生に育ってくれたなとどこか自己満足してたが…

とんでもない勘違いだったかもしれない。

昂輝は紛れもなく姉の子だと思い知らされる。

小さい時から利発な少女だった姉が、蘇ってパワーアップしたみたいだ。

漫画なんて平和な方向じゃなく、本当の犯罪に立ち向かう知性へと育ってしまった…いくら命があっても足りない。 

「あ〜っ、どうしょう?」霧子は直接死体を見てないが凄惨な遺体らしかった。メンヘラだがかなりの美女なのに眼球が飛び出し伸び切った舌が首の切り口から垂れ下がっていたとか…

長谷川さんは生きたまま食い殺されたので、両目も口も開ききって苦痛に悶え苦しむ表情のまま固まっていたとか…言葉だけでもフラフラしそうだ。

手を洗い女子トイレから出ようとして、ふとあんなに人が沢山いるのに誰もトイレに来ない事に気付いた。

「あれ?おかしくない?」前の鏡に出口が映っている。帽子だけ…顔は見えないが…警備員さんの帽子が見える。

「反対側のトイレに皆さんを誘導したので、こっちはアナタ専用ですよ。いかがですか〜?」と警備員のおじいさんの声がした。

大森がお化け屋敷発祥の地になったのは、鈴ヶ森処刑場があったからじゃないかと推論立てて息子に語り。

江戸の処刑は、市中引き回しからのエンタメ要素が強かったのではないかと。

処刑の日には、朝から大森に人が見に集まる。

茶店やみやげ物屋が軒を並べて仲見世が出来たそうだ。

しかし、将軍が変わると処刑をしない人も現れる。

つまり仲見世は閑古鳥が鳴く。

その時、町医者が立ち上がった。処刑の代わりになるエンタメを作ろう!

医学の知識を生かして、処刑パノラマを作り客寄せすると仲見世が活性化し、その見世物はやがて全国へと広かったらしい…話にドン引きする息子。地獄谷のお化け屋敷論…

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