日常を疑う
桜子が職場に復帰して幸せそうな猪俣くんを放置して昂輝と霧子は部長に挨拶して部屋を出た。
昂輝は特別に入るのを許されたのだ。警察はデータセンターの内部も疑っていたのだ。
「知ってる?実は、最初に1番疑ってたのは部長なんだよ。」昂輝がセキュリティを抜けた所で小声で話す。
「僕が疑うと言う事は警察も疑ったと思うよ。」昂輝がイタズラっぽく笑う。
「ウソ!1番無い!」と霧子が焦る。
「なぜ疑わないの?
それは、まず家族ってのが制服と同じで隠れ蓑なんだよ。
だからスパイも恋人作ったり家族の中に紛れ込んだりするんだよ。KGB(旧ロシアのスパイ組織、プーチンも所属)の本にも書いてたよ。まず敵国入ったら恋人か家族を作るんだ。すごい信用を得やすく動きやすくなる。」昂輝はかなりそういう本を読んでるようだ。
「どこで部長は白だと思ったの?」霧子が聞く。
「意外に最近だよ。桜子さんが警察連れて行かれる時。全然止めなかった。犯人なら、絶対何らか動くからね。」昂輝の話に警察とかそういう人は見てる部分が違うのだと知る。
「つまり犯人はそのぐらい日常に紛れ込んでる人なんだよ。」と話しながらショッピングモールのフードコートに向かう手前で散らばったカートを整理する警備員と立って腕組んでる警備員同士が楽しそうに話してる横を横切ると思ったら、
昂輝が急に話しかけに行く。
「なんで、ここにスーパーのカートを皆放置するんでしょうね?迷惑ですよね〜」急に高校生に声を掛けられて立って腕組んでた警備員がにらむ。
そりゃ、警戒するだろう。
「ハハッ、そうだね〜フードコートに入るのに邪魔な事に気付くけど車のロータリーまで後少しだから、ここで荷物を手に持ち替えてフードコート入っちゃうのかもねえ〜」と年配のいつもニコニコとフードコートを巡回してるおじいさんが答える。
「こんなおじいさんがやってるのに、若手のアナタは手伝わないんですか?」昂輝がワザと角立つ物言いをする。
「もう!なにを」と霧子は止めに行こうとしたが、手で来るなと合図された。
「はあっ?カートの整理なんか仕事じゃないんだよっ!警備会社から言われてるのは巡回だけ!」警備員が舌打ちしながら、この小僧が!って顔をする。
「まあまあ、フードコート頼まれた私が勝手にやってるだけなんだよ〜お兄さん。」おじいさん警備員が気を使ってとりなしてくれる。
「あれ?他の人はフードコート関係ないんですか?広場とかは回ってるのに?」まだ昂輝が食い下がる。
「はあ?ココは各種飲食店のテリトリー扱いなんだよ、テーブルに店のシール貼ってるでしょ?だから警備会社から介入するなと言われてるんだ!」警備員が憮然とする。
「あれ?じゃあ、このおじいさんは?」昂輝がニヤッとしながら、感じの良いおじいさんを指さす。
「?それは俺は知らないよ〜制服着てるから、フードコート専門の人を雇ってるのかなと。」警備員もよく分かってないらしい。
「そうそう、ワシはシルバー人材センターから頼まれて来てるんじゃ。お兄さん達とは別口なんだよ〜ホッホッホ」と笑う。
「ほう!そうだったんですね!オレも今知りましたよ〜」と警備員同士で笑う。
昂輝はスッと抜けてきた。




