《★~ 全世界管理者との交信 ~》
アンゲランが素直な気質の持ち主だったので、パンナコッタは安堵する。蝶系統動物を駆除してくれて、おそろしい陰謀は阻止されるに違いない。
突如、目前にある時空間交信器が「じりりりーん!」と、けたたましい音を響き渡らせる。どういう意味だろうかと疑問に感じながらも、パンナコッタが応答してみようと思った。
「もしもし」
》こらあ、余計なことしくさってからに《
「え!?」
》そこに座れ《
「最初から座っています……」
》我らは、全世界管理者と我らが呼ぶ存在者である《
「は?」
》思念量子波の無免許使用は万死に値する《
「へ??」
》それよりも、全世界を無限分岐させた罪はもっと重い《
「無限分岐??」
》なにも知らぬようだから、一から、いや零から教えてやる《
「はあ、是非お願いします」
》かくつのしかうし、まるばつうまとら《
「はい」
》じゅげむごこう、ぱいぽのしゅうりんがん《
「ええっ!」
全世界管理者を名乗る謎めいた存在者の話が一時間より長く続いた。
パンナコッタは熱心に耳を傾けているけれど、難しい内容も多いため、他の三人は欠伸をしたり、うつらうつらしたりして、まともに聞いていない。
》ぽんぽこなちょうすけ、さんいしいこくにむかう《
「これは驚きました!」
》沙汰は追って通達するゆえ、首をよく洗い、座っておれ《
謎めいた存在者との交信が途切れた。
「今の誰やろか?」
「全世界管理者と名乗っておられましたね。その名の通り、全世界を管理なさっている存在者だと思います」
「神さんみたいなもんかいな?」
「そうかもしれません」
交信相手が、自身について「我らは、全世界管理者と我らが呼ぶ存在者である」とだけしか打ち明けてくれなかったものだから、具体的にどのような存在者だというのか、パンナコッタにも詳しいことは分かっていない。
「僕たち全世界学者ですら持ち得ない知識を、色々と教えて下さいました」
パンナコッタは、全世界管理者から聞いた内容を三人に説明する。
「まず大切なことを話しましょう。この時空間交信器は、思念量子波と呼ばれる物理的特性を巧みに操って、時空間を隔てた交信を可能にしているそうです。しかしながら、思念量子波の乱用は危険を伴うため、使用するには免許証の取得が必要となります。知らなかったとはいえ、無免許で扱った僕たちは、万死に値すると注意を受けたのです」
「いやいや、僕たち違うやろ。その道具使うたん、あんさんだけでっせ。万死に値するんは、パンナコッタはん一人で十分や」
「そうもいかないのです。思念量子波の違法使用現場にいた総員が、処罰の対象になりますから」
「なりますからって、そんな無茶苦茶な!」
この上なく憤懣やる方ない三休さんを尻目に、後土御門天皇が口を開く。
「酒呑童子は免許証を持っておったのか?」
「彼は金色の免許証の所有者だったそうです。それにも拘らず、思念量子波使用法違反を犯し、全世界管理者の指示で出動した頼光に処刑されました」
「哀れよのう」
「そうですねえ」
「あんさんら、呑気にそんな雑談しとる場合やないで」
「はい」
パンナコッタは、その通りだと思った。




