《☆~ 室町カルテットの結成 ~》
後花園上皇は寝ている際に、ほとんど夢を見ないけれど、稀に見ることがあり、それが必ず現実となる。彼は「先見の明」を備えた魔法使いなのだった。
後土御門天皇を覚醒させた次の日、パンナコッタが再び後花園上皇の邸にやってくる。
「勇者は決まりましたか?」
「へえ、とっくに」
「僕も集団に加わります。他にも二人は必要です」
「どんな輩が適任やろか?」
「頭脳派が一人欲しいですね。僕も全世界学者で錬金術者でもありますから、考えるのは得意ですけれど、なにか意表をつく発想のできる人物が望ましいです」
後花園上皇が思わず手を打つ。
「それやったら、黒雲寺の三休さんがぴったりやわ!」
「え、どういう人でしょうか?」
「小生意気なお茶汲み坊主やけれど、頓智が凄い得意なんや」
「坊主とは、つまり僧侶ですね。ここに呼んで貰えますか?」
「へいへい」
後花園上皇は下僕に指示を出した。
パンナコッタが話を続ける。
「もう一人、戦士か盗賊でも見つかれば御の字です」
「それってなんやねん?」
「戦士というのは、ジパングで武士と呼ばれる者に近いでしょうか。そして盗賊は盗みを働く賊のことです」
「うぅーん」
後花園上皇は、少し考えてから答える。
「よき働きのできそうな輩は、ちょっと思いつかんなあ」
「では、魔法使いならどうでしょうか?」
「儂はこう見えて魔法使いの端くれやけど、もう歳やからなあ」
「そうですか。勇者の他にもう一人、なにか強い力を持っていて戦える人がいると理想的なのですけれど……」
「強い力というなら、女やけど、藤原富子というのがおりますわ」
「え、女忍者ですか?」
「いいや、刀術に長けておって、十年くらい前やったかなあ、木刀を握り締めて、室町殿に乗り込んだかと思うと、たった一秒で征夷大将軍を失神させたとか、そういう武勇伝を聞いたことありますわ」
「それは素晴らしいです! 是非とも加わって貰いましょう。その人も、すぐ呼んで貰えますか?」
「へえへえ」
後花園上皇は下僕に指示を出した。
しばらく二人でお茶を飲みながら待っていると、三休さんと富子が、ほとんど同時にやってきた。
パンナコッタがまず自己紹介をして、それから事情と役割を手短に話す。
三休さんと富子は、二つ返事で集団に加わることを承知した。
そしてパンナコッタが立ち上がる。
「勇者と合流して作戦を立てましょう」
「ういっす」
「承知ですわ」
「後花園上皇さま、色々とお世話になりました。僕たちの集団が必ずや、おそろしい陰謀の阻止を成し遂げてみせます!」
「これをやる、護符や」
後花園上皇が、懐から「お札」のような代物を四枚取り出した。
「え?」
「腹の足しにはならんけど、ちょっとくらい魔除けにはなる」
「ありがとうございます!」
パンナコッタが四人分の護符を受け取った。
後花園上皇に別れを告げ、三休さんと富子を連れて内裏へ向かう。
「パンナコッタはん、さっき名字がポンチューとか言わはったけど、ポンチュー市場調査と関係あるんか?」
「ポンチュー市場調査は、父が経営している会社です」
「へえ、金持ちとこのぼんぼんやな」
「その通りです。金力というのは、まさに権力ですよ」
「うわ、怖っ!!」
内裏に到着した。清涼殿に入ると、後土御門天皇が温かく迎えてくれる。
早速、四人で話し合い、集団名を「室町カルテット」と決め、首領をパンナコッタが務めることになった。




