選択ミス
選択ミス
【銀煙・ダツ】
吐き出される銀色の煙が細長い魚状に形作られると、鋭く伸びる顎先を突き刺そうと空中を泳ぎ、田沼に迫るが硬質化した皮膚を破ることは出来ずに煙へと戻っていく。
しかし咥えていた銀煙を更に吹かす。
【銀煙・ダーツ】
何本もの煙で出来たダーツが放たれる中久信は、田沼と勇司の間に入ると前進を始める。
【思金神の眼鏡・最適化】
後方から次々と飛んで来るダーツを無駄のない動きで回避しつつ、ダーツを邪魔くさそうに身体で受ける田沼の目の前へと迫っていた。
目の前の久信に手を伸ばそうとするが、久信が軽く首を横に傾けると突然ダーツが現れ、田沼の腕に当たり煙へと戻っていく。
その隙に懐に潜り込むと、通常時とは速度も威力も段違いのボディフックを打ち込むと、一瞬田沼の口から呼気が漏れるのを見逃さなかった。
撹乱のため吐き続けられるダーツの中を、久信は軽いステップで田沼の至近距離を動き回り打撃を加えていくが、徐々に攻撃の効きが悪くなっていることに気付いていた。
(これはやはり少々やっかいな肉体ですね。力を込めると皮膚の硬質化が進んできましたか、このままでは私の拳が壊れますので作戦を変更です。)
無作為に伸ばしてきて掴もうとする田沼の腕を逆に掴み、そのまま飛びつくと逆十字に肘を極めにかかっていた。
肘は確かに極まっていたが、田沼は久信をぶら下げたまま動こうとしない。
久信は手の中に感じる肘を極めたという確かな手応えの中に、僅かな変化を感じていた。
変化が顕著になった時には、久信は手を離し着地すると慌てて距離を取る。
そこには肘の可動域をDNA操作し、真逆に肘関節を曲げてストレッチする田沼の姿が目に入った。
銀煙の吸い殻を地面から生やした灰皿に投げ捨てながら、勇司が小さく呟く。
「これは激しく気持ち悪い映像だな、どんな体の構造してるんだよ。」
呟く勇司の横に戻っていた久信は一度特技を解くと、慣れた様子で目薬を素早く両目にさす。
「時間を掛けるのは作戦として失敗ですね。我々が不利になる一方のようです。」
二人は並び作戦の選択ミスを反省しながらも、徐々に進化を続ける田沼に対し新たな作戦を考え、素早く頭を捻っていくのであった。
なんとなく最終話に向け、普段と変わらず話が続いていきます。後4、5個事件が終わったら完結すると思いますが、本当に書きたいのは、この次の話なんだよなー。




