出勤
出勤
朝出勤前に勇司がテレビをぼんやり見ていると、画面一杯に以前護衛についた長谷島の姿が写し出されていた。
「可決したのか、よかったよかった。特技を輸出ねー?うまくいけばいいけど、俺の特技が輸出される事はないな。悲しいお話だ。」
気を取り直し飲んだコーヒーのカップをシンクに置くと、玄関に置いてある鍵を持ち出勤する。
三輪のタイヤが真っ直ぐ三つ並ぶ原付きに跨ると、キックスタートでエンジンをかけ、甲高いエンジン音を軽快に上げながら進んでいった。
特局に到着すると地下駐輪場に原付きを置き、0室に入るとすでに久信も出勤しており、他に綺麗な七三分けでシワ一つないスーツを着こなす竜胆の姿も見える。
「おはよーございます。竜胆さ結構お久しぶりですね。」
「ああ、おはよう。今日は一緒みたいだからよろしく頼むよ。」
「えっ、そうなんですか?なんか珍しいですね。久信なんか聞いてるか?」
椅子に座りパソコンを眺める久信に尋ねると、すぐに答えが返ってきた。
「他の班からの要請のようですね。容疑者は判明していますが、確保の際に重傷者が三名程出ているようです。」
「そりゃあ物騒なお話で。そりゃあ0班に回ってくるわな。」
すると手帳を見ていた竜胆が立ち上がり、出発の準備を始めていく姿に促されるように二人も急いで準備を済ますとすぐに出発となる。
後部座席に座る竜胆は腕時計をチラリと見ると、軽く頷き再び手帳を開く。
運転席の勇司は運転しながらも、何度も開かれるその手帳に気を取られていた。
「竜胆さん、前から気になってはいたんですけど、その手帳には何書いてるんですか?結構ゴツい手帳ですけど。」
「これはただのスケジュール表だよ。言うなれば自分自身の特技の一貫だね。」
分かったような分からないような表情で話を聞く勇司に、助手席の久信が助け舟を出す。
「これはロリコン勇司さんにはなかなかに難しい話なのですが、この分かりにくい特技と言うものを強化するには自らの特技への向かい合い方が重要という事です。」
「んー?とりあえずはロリコンちゃうわっ!そして特技は気の持ちようが大事って事か?」
「ざっくり言ってしまうとそうゆう事になりますね。」
やはり分かったような分からないような表情をしながら勇司はハンドルを握り、他の班員三名を病院送りにした容疑者へと順調に近づいていくのであった。
多少肉弾戦を書きたくなったので、その方向で話を進めていきます。まあ、予定があったわけでもないのですが。




